25: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/07/25(木) 18:01:54.96 ID:mcyolYMmo
それから十分ほど大通りを移動すると、大きな社屋が見えてきた。少しびっくりしたのは、私の住む賃貸マンションからかなり近いことだった。これならタクシーを使わず、徒歩で来た方が良かったかもしれない。
道を調べてくれば良かったと、少し後悔したが、仕方がないので今は良しとした。帰りは徒歩で戻ればいい話だ。
四階建ての新社屋は、驚くほど綺麗で、洗練されている。アイドルのための寮やトレーニング施設なども併設されているとも聞く。
『凄いな……』
思わず、そんな言葉が零れ出る。シンデレラという名前に違わない、素晴らしいプロダクションだ。そう思った。
私はタクシーの運転手に運賃を支払い、領収書を受け取ると、車外へと出る。照り付ける陽光は、少し初夏の兆しを感じた。
そうして、少し息をつくと私は、シンデレラガールズの社屋へと足を踏み入れる。そういえば、アポイントメントも無しにやってきてしまったのだが、大丈夫なのだろうか。いや、大丈夫なわけがない。
『……向こうを出る前に、電話を掛けるべきだったな』
と、今更悔いてもどうにもなるまい。少し頭を振ると、私は意を決し、回転扉をくぐった。
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