33: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/01(木) 15:04:52.91 ID:3Q9jeZWOo
「はい、確かに受け取りました。わざわざ足を運んでいただき、本当にありがとうございます」
『いえ……。当然のことをしたまでですから』
私は愛想笑いをし、ぱちり、と鞄を閉じた。
『では、私はこれで失礼をします。社長様に、どうぞよろしくお伝え頂けると』
「わかりました、お気をつけてお帰り下さい」
若いプロデューサーの爽やかな様な笑顔に見送られながら、私は再び回転扉をくぐり、プロダクションを後にする。出てきしなに、プロデューサーが再び書類の山に埋没していくのが見えた。
稼働前、と言っていたがそれでもあれほど多くの書類があることを見ると、やることは多いのだろう。
ちら、とみた社内の案内板にはいくつも部署が区分けされていたし、もしかすると専属の事務員がいるのかもしれない。
私は回転扉を抜けると、なんとなく振り返る。と、先ほどのプロデューサーの所に、何人か同じようなスーツを着た男性がやってきて、書類を置いて行っている。仕事が増えたらしい。
遠目に見えた若いプロデューサーの顔が、まるでこの世の終わりを目の当たりにしたように見えたのは、気のせいではないだろう……。
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