35: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/01(木) 15:06:16.90 ID:3Q9jeZWOo
『今日はクラシック曜日か』
気疲れしたばかりだから、ちょうどいい。私はそう思いながら、店の扉に手を掛ける。からん、からんと小気味のいい鈴の音が木霊する。
「いらっしゃい、珍しいね、今日は昼かい」
マスターのそんな声が、聞こえた。
『ええ、近くに来たものですから、ちょうどいいと思いまして』
私はそういうと、少し見回し、すんすんと鼻を鳴らす。ああ、落ち着く匂いだ。どこか懐かしさを感じるこの店内は、私にとっては貴重な癒しの空間である。
『いつも通り、サラダセットとブレンドコーヒーでお願いします』
「はいよ」
マスターが厨房に引っ込むのを見ると、私はいつも自分が座っている、入り口そばのテーブルへ座る。昼間はカフェ兼レストランのこの店は、この時間帯は人がいない店だった。
静かに過ごしたい私にとっては好都合なので、休日はこの店で書類の整理をしたりもしている、いわゆる行きつけの店、というものである。
そして夜は、未来ある若人や、隠れた腕利き奏者の生演奏が楽しめる小洒落たバーとして、ちょっとした人気がある。いわゆる、隠れた名店、というやつだった。
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