過去ログ - モバP「凡人と第六感」
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37: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/01(木) 15:07:23.45 ID:3Q9jeZWOo
『マスター、今日お越しになる奏者さんはどんな方なので?』

 トーストを一口ほお張り、それを咀嚼して飲み下すと、私はマスターに訊いた。マスターはグラスを拭きながら、蓄えられた髭を揺らし、笑う。

「今日は若い子ら数人だね。あとは、一人変わり種の子がいるよ」

『変わり種、ですか?』

「ああ、楽しみにしてな。今日、来るんだろ?」

『ええ、まあ』

「お客さんはクラシック曜日の日によく来るからね。クラシックに縁があるんじゃないかい、ははは」

 マスターはそう言って笑う。

 このバーは、その日その日によって演奏される音楽のジャンルが変わる店だった。奏者の手配の関係から、ジャンルの移り変わりは不規則にも関わらず、私はクラシックの日によく当たるらしい。

 ここ数か月を思い出してみれば、確かに二、三日に一回は、クラシックの記憶があった。これが運命というのなら、安っぽい運命だとは思うが、それでも何かの縁なのだろう。

 私はもう一口トーストをほお張ると、一口コーヒーをすする。もう夏も近しいが、やはりコーヒーはホットに限る。そう思った。



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