47: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:23:21.51 ID:Fg9GCM/jo
「……どうかしたかしら?」
『……え、あ、ああ。いえ、これまたお美しい方が、お隣に座られたのだ、と思いまして』
私はとっさに、そんなお世辞を並べる。いや、生憎お世辞と言うわけではなく、実際の所本心ではあったが、あくまで平静を装ってのことだ。
おかげさまで、彼女もそれをお世辞と受け取ったのか、少し微笑むと、
「ふふっ、私を口説いているのかしら?」
などと、冗談っぽく返す。その微笑でさえ、様になるのだ。そこだけ切り取ってみれば、絵画のモデルになっていてもおかしくはない。
『残念ながら、私にはそんな度胸も才覚もありませんから』
私は、少しの冗談と、少しの自虐を込めて返す。彼女は、少し目を細め、そのしなやかな髪を揺らして、くすり、と笑う。
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