50: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:26:10.40 ID:Fg9GCM/jo
「お客さん、千秋ちゃんのこと、楽しみにしていたんだよ」
「あら、そうなのかしら?」
告げ口をするように、マスターが千秋さんへと喋りかける。彼女は、それを聞いても表情を変えることなく、余裕を浮かべたまま私に視線を投げかけてくる。
『ええ、変わり種の子がいる、と聞きましたので。残念ながら、今日は残業があったので拝聴はできませんでしたが』
私はウィスキーを少し呷ると、ことり、とグラスをカウンターにおいて言う。
少しほろ酔い状態だが、まだ慇懃な敬語は抜けないで済んでいる。私自身、自分が酔ったと感じる判断基準は、敬語が無くなる、と言う事に基づいている。
それまでに、酒は止める、というのが私の中の決まりごとだった。
「そう、それは残念だったわ。でも、明日も私はステージに立つの。是非聞いてほしいわね、Pさん?」
『ええ、それはもちろん。ここまで来て、千秋さんとお知り合いになれたのですから。是非お聴きしたいものです』
私はそう言った。どことなく、彼女の表情が嬉しそうに見えたのは、気のせいだろう。
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