58: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/11(日) 03:15:40.21 ID:fDDiOZLHo
『ええ、凄まじい歌声でした。千秋さんは声楽を習ってらしたので?』
「そうよ。私、クラシックが好きなの。それで、いつかはクラシックの歌手になって見せよう、と思っていたの」
そういって微笑む彼女は、どこかつまらなさそうではあった。その理由は定かではない。気分を害することは言っていないはずだが、彼女の眼は私をじっと見据えている。
『……どうか、しましたか?』
「いえ、それだけなのかしら、と思っただけよ」
彼女の言い方はどこか、不満げである。これ以上ないぐらいに褒めたつもりだったが、まだ賞賛が足りないと言うのだろうか。
私は、次の褒め言葉を考える為、頭の中の辞書を引っ掻き回す。が、ちょうどいい文面が出て来る前に――ふと、浮かんだ言葉が口をついて出てしまう。
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