過去ログ - モバP「凡人と第六感」
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85: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/17(土) 05:37:31.30 ID:4Y+/Hkh9o
「それでは、ひとまず私は帰らせていただこうかな、と。次の予定もあることです。それと、いきなりやってきてこのような突然のお話、申し訳ありませんな」

「いえいえ、本人の意思を尊重していただき、感謝いたしますよ。正直、我がプロダクション程度のレベルでは、買収されても文句は言えませんからな」

 時間にして、僅か三十分ほどのことだった。三時過ぎに事務所へ戻ってきて、今の時刻はまだ三時半である。

 だが、私にとっては時間が止まったような錯覚を受けるほどの、そんな恐ろしいぐらい長い時間だった。

「それも可能でしょうな。ですが、私は金に物を言わせて、というやり口は嫌いでしてね。何より、持てる力の一滴までも絞り出してやるには、意思が必要不可欠ですからな」

 私の隣で、そんな会話が交わされる。社長とシンデレラガールズの社長の物ではあったが、やはり、これもどこか遠くの出来事のようである。

 そもそも、なぜ私がスカウトされたのか。それがいまいち理解できない。わざわざこんな小さな事務所で、存在するかもわからない水晶の原石を探す必要性はない。

 それ以前に私よりも非凡な人はいる。平凡、無能、でくの坊という言葉がこれほど似合う人間は、世界中を探してもそう居ないのではないだろうか。

 私を雇わざるを得ないほど、広報や営業が不足しているわけでもあるまいし、やはり、理由は分からなかった。



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