89: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/17(土) 05:39:48.49 ID:4Y+/Hkh9o
『お言葉ですが社長。私はどうしようもなく平凡で、無能です。社会人として、このようなことを言うのは、間違っていると重々承知ですが、この事務所がここまで苦しいのは私に責任があると……』
「おい、図に乗るなよ、Pくん」
私の言葉は、そんな社長の一喝で遮られる。静かな言葉だったが、どこか人生の先達として、酸いも甘いもかみ分けてきた人間の老練さがにじみ出ていた。
「君の言い方だと、この事務所は君無しでは成り立たないように聞こえるね。まるでPくんがちゃんとした成果を出せれば、この事務所は立ち直る、と」
『い、いえ。決してそういうわけでは……』
私は急ぎ誤解を解こうと言葉をつづる。だが、社長は少し意地の悪そうな笑みを浮かべると、
「わかっとるさ。ただ、君は卑下が過ぎる。もう少し自信を持ちたまえ。君に才能があると判断し、君を採用した私の無能を詰ることになるからね。それとだ」
そういって、私の肩をぽん、と叩く。どこか温かみさえ感じるその行為に続き、私には少し理解できない言葉を社長は言った。
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