過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part5
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532: ◆EBFgUqOyPQ[sage saga]
2013/08/07(水) 22:54:08.56 ID:Xn7R3ISMo
アーニャ「……そういえば、そのアカシック、レコードというのは、何でも知れるのですか?」

文香「はい……、多分世界の終わりから、今日のあなたの朝食まで、すべて識ることができると思います」

アーニャ「ンー……では、今日私と出会うことも、知っていたのですか?」

文香「いえ……私は、未来は読まないので……今日出会ったことは、本当に偶然です。いや、偶然ではないのかもしれないけれど……」

アーニャ「未来は……読まない?便利そうな力なのに……なぜ?」

文香の前を歩くアーニャに、後ろの様子はわからない。
並び茂る街路樹の影は二人を飲み込んでいる。

文香「……アナスタシアさんは、シュレディンガーの猫、というのを知っていますか?」

アーニャ「コート……猫なら知っていますが……」

文香「……猫を知らない人を探す方が大変ですよ。シュレディンガーの猫というのは物理学者のシュレディンガーが提唱した量子論における思考実験です。……最近では関係ないところで有名ですね」

アーニャ「……難しそうな言葉ですね」

アーニャはよくわかっていないようだが、文香は続ける。

文香「……要するに、箱の中に猫と、50%で発動する致死性の毒ガス発生装置を一緒に入れておくのです。その時、箱の中の猫は生きているか死んでいるか、という実験なのです」

アーニャ「なんだか……科学っぽくないですね」

文香「思考実験ですからね。……アナスタシアさん、箱の中の猫は生きているでしょうか?死んでいるでしょうか?」

アーニャ「それは……透明な箱でない限り、開けるまで、わかりません」

文香「……そうですね。箱を開けるまでは猫は、生きているかもしれないし、死んでいるかもしれない。どちらの可能性もあるわけです。……本来ならばここから量子論についての考え方に進んでいくのですが、今は少し、違う使い方をします」

突然、建物の間から二匹の猫が飛び出してきた。その猫はアーニャの後方へ向かって走って行った。
アーニャはそれを目で追うと、後ろにいた文香の目と合う。
文香は合った目を外して歩きは止めずにそのままアーニャの前へと出た。
気が付けば猫はもう姿が見えなくなっていた。

文香「……アナスタシアさんは、箱の中の猫には、生きていてほしいですか?死んでいてほしいですか?」


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