過去ログ - 一夏「おれ……えと、私は織斑一夏と言います」
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203: ◆G4SP/HSOik[saga]
2013/07/29(月) 04:20:40.95 ID:PhQsz/zr0

じィちゃん「お前はワシにとっての生きた証! 簡単に死ぬつもりならワシの時間を返せ、愚か者!」

一夏「え、嘘?! “じィちゃん”……?!」

じィちゃん「お前にはワシの全てを叩き込んだ! お前がワシの教えを守ってさえいれば、忘れなければ、ワシの意思は潰えんのだ」

一夏「…………」

じィちゃん「よいか、人の一生の価値は他人からその存在や想いを覚えていてもらえるかで決まる。もしお前が死ねば本当の意味でワシも死ぬのじゃ!」

一夏「でも、俺は……俺が――――――!」

じィちゃん「まったく大馬鹿者が! だから、お前はアホなのだ」

一夏「うう…………」

じィちゃん「許す」

一夏「え?」

じィちゃん「許すといった」

一夏「何で? 何で簡単に許すの!?」

じィちゃん「甘ったれるな、小僧!」

一夏「――――――!!?」

じィちゃん「貴様、いつまでワシの意思を無視する気だ。ワシへの介錯を利用して逃げ続けるな!」

じィちゃん「ワシはあの時、すでに死んでいたのだ」

じィちゃん「死してなお、傀儡として使役される哀しみをお前はあの時、汲んだ。そして、ワシを救ってくれたのだ」

一夏「――――――それでも!」

じィちゃん「喝!」

一夏「………………っ」

じィちゃん「貴様、自分が“選ばれた人間”だとでも思っているか!?」

一夏「なら、俺はどうしたら…………」

じィちゃん「……どうもお前は融通無碍にとはいきそうにないな」

じィちゃん「よいか、人間は自分の考えて自ら律し決断する生き物だ」

じィちゃん「その決断する意思を失った者は『人間』ではなくなるのだ。それは傀儡でしかない」

じィちゃん「そして、欲望に身を委ねる者も『人間』ではなく、餓鬼畜生だ」

じィちゃん「『人間』とはそういった低俗で狭量な者たちを正せる存在なのだ」

じィちゃん「人を活かす剣とは何を斬るものだ」

一夏「心を斬るため…………」

じィちゃん「そうだ。剣とは“強さ”――――すなわち手段」

じィちゃん「『人間』だけが持つ、誤った決断を下す者の心を正す手段」

じィちゃん「心に芽生えた悪鬼羅刹の相を斬り落とし、朝不謀夕の惑う者たちを曇りなくする方策」

じィちゃん「そして、命を奪える剣の重みとは暴力になることを防ぐ戒め」

じィちゃん「お前はワシに到底及ばないとばかり言っているが、」

じィちゃん「ならワシから受け継いだ剣を活かすことはできなかったのか。ワシの人生は無駄だったのか」

一夏「そんなことはない! それでも……!」

じィちゃん「…………世話が焼けるな。馬鹿な子ほど可愛いとはこのことだ」



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