34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/31(水) 11:02:26.61 ID:QFUIL0gz0
最初のバス停に着いて、鳴とはそこで別れた。
あれからまた色々と喋ってはいたが、よく覚えていない。
いつか記憶が消えてしまうのはわかっていた。
でも……想定していたより早い。
鳴の記憶が調整されたのはいつのことだろうか。一ヶ月前か、一週間前か、昨日か、それとも今朝二度寝から目覚めた時か。
〈災厄〉の真相を唯一人共有していた鳴がその記憶を失い、世界に独り取り残されたようにさえ思えた。
「……ぼくも明日、目が覚めた時には忘れてしまっているかもしれないのか」
本当に忘れてしまっていいのだろうか。
自分がこの手で怜子さんを“死”に還したこと、それすらも。
ズキンと胸の奥が痛んだ。これは肺のトラブルとはまた違う痛み。
これまでずっと考えてきたあるひとつのこと────それはもうほとんど形になっていた。
いつの間にか速度を速めていた足は一直線に自宅を目指していた。
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