過去ログ - 八幡「だから…………さよならだ、由比ヶ浜結衣」
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◆QiIiNKb9jA
[saga]
2013/09/19(木) 21:59:08.05 ID:OKmaXPvV0
しばらく経っても由比ヶ浜の様子は変わりないので、俺は体勢はそのままでポケットから使っていない方のハンカチを
取り出して彼女の頬を流れる雫を撫でるように拭いた。すると、俺の胸に預けていた頭を彼女はいったん離した。
「これ…………使え」
俺がハンカチを由比ヶ浜の手に渡すと、彼女は何も言わずにこくんと頷いた。手に持ったそれで自分の目を隠すような
感じで涙を抑えると、彼女は途切れ途切れに言葉を紡ぎだす。
「わかんないよ……ヒッキー、が何……考えてるのか……あたし……」
「……今はそれでいい……わからなくても……」
俺の慰めとも諦めとも突き放しとも取れるような返答に、由比ヶ浜はハンカチを目から離して濡れたままの瞳でこちらを
じろっと見やる。怒りや悲しみ、困惑がごちゃごちゃに混ざった瞳だった。彼女が口を開くとき、またその目から雫が
流れ、頬をつたっていく。
「あたしは、ヒッキーのこと……わかりたいのに……」
「そうだな。由比ヶ浜はそういう人間だ。だが、知るにもタイミングってものがある。結局のところ、俺は人の気持ちを
わからずに、いやわかろうとせずにきて、意図しないところで知ってしまって失敗したといってもいい」
「…………どういうこと?」
また自分の悪い癖、わざと相手に伝わらないような言い方をして話を続けさせるという行為を俺は無意識にやってしまう。
ここは…………まぁ、具体的にいっても問題にはならないか。俺は慎重に言葉を選ぶためにゆっくりと話し出す。
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