過去ログ - 八幡「だから…………さよならだ、由比ヶ浜結衣」
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713: ◆QiIiNKb9jA[saga]
2013/10/06(日) 20:05:32.46 ID:LeQZFUAM0
K彼と彼女はもう一度始めることができるのか。


昼休み以降は、また誰と話すこともなく時間は過ぎていき、帰りのSHRも終わっていよいよ部活の始まる時刻が迫って

きた。俺は修学旅行後に起こった出来事に思いを巡らせる。一か月程度しか経っていないのにその間にずいぶんと色々な

ことがあったように思える。脳裏には自分に対してかけられた言葉の数々が浮かび上がってくる。


――――もしヒッキーがわざと嫌われるようなことしても、あたしのヒッキーに対する印象は変わらないからね

まったく……いくらこんなことを言われたからといって実際にそれをやる奴がいるかっつうの。もし、いるとし
たらそいつは愚か過ぎる。まぁ、自分のことなんですが。


――――あとそうだ…………君は君でいい加減に他人から好かれる覚悟をすべきだと思うよ

とりあえず、好かれる覚悟はもうできたと思う。あとは自分が好く、好きでい続ける覚悟をするだけだ。


――――ま……本当のことを言った方が良い時もあるんじゃないの?あんたのためにもその周りの人間のためにも

多少時間はかかったが、ようやく本当のことが言えそうだ。たとえそれが自分にとって、あるいは相手にとって
少しばかり都合の悪いことであったのだとしても。


――――だから、君も君なりの正しさを発揮すればいいのさ。どうにも間違っていると私が思ったらその時は叱ってやる

一応、自分なりの正しさというものを考えてはみたんですがね…………果たしてそれは先生のお眼鏡に適うもの
なのかどうか、俺にはまだよくわからないです。


――――なに、そう深刻になりすぎることもないだろう。いざとなれば一人に戻るという選択肢もある

どうやら、もうその選択肢はなさそうです。あるいは、最初から最後まで一人は一人、という言い方も無理やり
しようと思えばできないこともない。


――――あんまりのんびりしてると、由比ヶ浜さん他の誰かに取られちゃうよ

ああ、わかっているさ。だから、ずっと自分のことが好きだと、何をしても自分のことが好きだなんて自惚れた
ことはもう金輪際考えないようにする。


――――我としても主が部に戻ってもらわぬと困るのでな。正直なところ一人であの者どもを相手にするのは荷が重すぎる

正直なところ、俺にとっても荷が重い。だが、もう背負わないということは許されなくなった。だからどうにか
して、その荷を少しでも軽くする方法を考えてはみたんだ。


――――もしも思慮深く聡明で真面目な生活をしている人を伴侶として共に歩むことができるならば、あらゆる危険困難
に打ち克って、こころ喜び、念いをおちつけて、ともに歩め

ともすれば、彼女は浅慮で愚昧で不真面目な生活をしているようにも見えるかもしれない。でも、本当はそうで
ないことくらいあなたならわかるでしょう?ねぇ、陽乃さん。


――――じゃあ、あんたも早く結衣との未来なんとかしろよ

その“未来”をなんとかするために、今はそのことを考えたり口にしたりすることが俺にはできない。未来が今と
して積み重ねられるようにする方法しか自分には思いつかなかった。



そんなことを考えつつ、これから彼女に伝えるべきことを整理していると、いつの間にか教室に残っているのは自分だけ

になっていた。


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