過去ログ - 八幡「だから…………さよならだ、由比ヶ浜結衣」
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755: ◆QiIiNKb9jA[saga]
2013/10/08(火) 20:21:17.78 ID:lT0ghM6n0
そう言って結衣は握っていた手をいったん離し、両手を前に出すように促す。こちらがそれに応じると、彼女は俺の両手

を組ませる。そして、結衣に撫でるようにして触れられて俺の手が包み込まれる。

「だからね…………ヒッキーの手から幸せが零れなくなるまで、こうするんだ」

「こ、こうするって……」



「あたしがヒッキーを……“手当て”するよ」

「!!!」



――――ああ、いかん。もう…………ダメだ。抑えきれない、この感情は。

そんな言い方をしたら、“今”の俺の存在そのものを認めてしまったようなものじゃないか。

しかも、その“今”の自分というのは“過去”の出来事の積み重ねによってつくられたものだ。

人間関係がうまくいかなくて一人ぼっちだった自分。

斜に構えたり、捻くれたものの見方をするようになってしまった自分。

でも、いつもどこかで自分の“影”を他人に見出して、自身のことは無視してそれに手を差し伸べてしまう自分。

そういう過去の積み重ねを否定しないで、結衣はそのまま受け入れてしまった。

“今”の俺によって、結衣には色々と迷惑をかけたり、傷つけたりしてしまったのに。

それなのに、そんな自分を差し置いて俺を“手当て”するだって?

結衣は俺と一緒にいることで起きる悪いことも、不都合なこともすべて飲み込んでしまったかのようだ。

俺は今まで、自分の存在は自分が認められていればそれでいいと思っていた。

でも、今は違う。俺の一番好きな人が、俺の存在そのものを――――




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