過去ログ - 八幡「だから…………さよならだ、由比ヶ浜結衣」
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787: ◆QiIiNKb9jA[saga]
2013/10/12(土) 22:34:41.23 ID:uMgeVN9Q0
「比企谷くんは…………私のこと、好き?」

懇願するような彼女の声色に、胸の内が波立つような感覚に襲われる。しかし、その質問に対する答えはもう決まって

いた。俺は、雪ノ下の横顔に向かってこう告げる。


「俺は雪ノ下のことが、好きだ。でもそれは……………………恋人にしたい、という意味の……好き、ではない」


「そう…………そうね。そう……わかっていたわ」


雪ノ下は落ち着いた声でそう言った後、ふっと息をついてカップに手を伸ばす。少しうつむいた状態で、顔の近くまで

カップを引き寄せるとそこで動きが止まる。一瞬間を置いて、カップの液面に波紋が広がった。

「雪ノ下……」

「ごめんなさい、今……話しかけないで。こっちを…………見ないで頂戴」

「わ、悪い……」

雪ノ下は声を震わせながらそう言って、カップをテーブルに戻した。勢いよく置いたので、液面が波打って紅茶が零れ

そうになる。俺は彼女のお願いを聴いて、反対側に顔を逸らした。ソファがギッと音を立てて雪ノ下が立ち上がる。


「比企谷くん。私の方から呼びつけておいて、悪い、とは思うのだけれど…………少し……十分、いえ……十五分だけ

…………ここで座って待っててもらえるかしら。必ず…………もど、るから……」


途中から嗚咽が漏れ、声も途切れ途切れになりながらどうにかそこまで言い切ると、雪ノ下は俺の返事を待たずしてその

ままリビングから走るように出ていってしまった。俺は彼女の言葉が途切れる前に、手を伸ばして引き止めたくなる衝動

にかられるが、“必ず戻る”というフレーズを聴いてどうにかそれを思い留まった。



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