10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/01(木) 23:11:03.56 ID:a9tfMA/V0
目的地に着いたはいいが、
「しまったな………」
「今日はНеудача………失敗が多いですね。もしかして、お疲れですか?」
「いや、そんなことはないと思うが………」
言いながら荷物を確認する。
山道を歩くということで運よく車に積んであったリュックにシートや飲み物を入れたのだが、
「枕を忘れた………」
「Действительно?」
本当ですか?
「ああ」
「そうですか…………」
肩を落とす彼女に申し訳ない気持ちで胸がいっぱいになる。
アナスタシアはシートの上で寝転ぶのをひどく気に入っていた。
そのお供である枕を忘れてしまった罪はさぞ大きいことだろう。
「すまないが、今日は枕なしで我慢してくれ」
「ダー………分かりました」
頷き、ころんと横になる。
せっかくの星空だというのに、少しだけ翳って見える。
なんとも勿体ない。
アナスタシアも似たようなことを考えていたのか、やりきれないような表情で夜空を眺めていたが、ふと、
「………プロデューサー」
「どうした?」
「………やっぱり枕ほしいです」
「そうか………」
どうしてもというなら仕方ない。
忘れてしまったのは自分だし、車まで取りに行くとしよう。
そう思って彼女に背を向けようとしたのだが、
「………プロデューサー」
彼女にもう一度呼ばれた。
「なんだ?」
「………隣、来てください」
そう言って彼女はまだいくらか余分のあるシートをぽんぽんと叩いた。
「………枕、貸してください」
ちらり、と横目でこちらを見て、彼女は言った。
「………………プロデューサーの、腕枕」
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