3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/01(木) 23:08:26.95 ID:a9tfMA/V0
助手席に乗ってきたアナスタシアに飴の袋を差し出した。
「Конфета………飴、ですか?」
「運転席と助手席は空調が直当たりするからな。喉のためにも舐めておいた方がいい」
「ダー………ありがとうございます」
小袋を一つつまんで、彼女は飴玉を口に放り込み、ころころと舐め始めた。
「………眠かったら遠慮せず寝ていいからな? レッスンで疲れているだろうし」
「いえ、まだ元気です。………楽しみにしてましたから」
「………ご期待に添えるか心配だがな。先に言っておくがお前の故郷の星空ほど綺麗なものはさすがに見れないと思う」
あまり期待するなよとハードルを下げようとしただけなのに、随分と突き放すような言い方になってしまった。
せっかく上機嫌なアナスタシアを不快にしてしまったかもしれない、と思ったが、彼女はくすりと笑い、
「それくらい分かってますよ。………それに、どんな星空にだって良さはありますから」
「都会の星空にも?」
「………少しだけ考える時間をください」
「無理する必要はないぞ。良さがないならないで構わない。ただ、たまに見上げる夜空がアナスタシアの中ではあんなもの星空と名乗っていいものではない、となっているということになるが」
「う………Больной-tempered」
「…………それはなんという意味なんだ?」
「意地悪、という意味です」
「そうか………ちなみに責任転嫁はどう言うんだ?」
「………………Больной-tempered」
「それは意地悪という意味だと聞いたが…………」
「うー…………」
恨みがましそうにこちらを見るアナスタシアに、少しだけ、いや、多大な心地よさを得ていた。
こんな風に軽口を叩いたのは初めてのことだったからだ。
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