25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/04(日) 18:43:38.04 ID:J9Yav5ZU0
アーニャ「こう見えてハーフだから、言葉は分かるんですよ。
パパが見たら何を言うかな……?」
アーニャさんは表情を消し一瞬で笑顔を取り繕った後、お花の香りを嗅いでいます。
今の動作はどこかで……。ひょっとして私、また何か怒らせるような事を言ってしまったのでしょうか?
アーニャ「私はパパに聞きました。
【ロシアを治める者は鉄の腕を持たねばならない。しかしその手には常に手袋をはめねばならない】と」
アーニャさんが片方の手袋を外し、私へと差し出してきました。……手袋?
困りましたね、アーニャさんはロシアの方でしたか。それでは英語が通じないのも当然です。
まだ、ロシアのことわざは勉強していませんのでまったく分かりませんし――贈り物を受け取らないのは失礼ですよね。
私も衣装の手袋を片方だけ外し、アーニャさんの手袋と交換する事に致しました。
たしか以前テレビで見たサッカーの試合では、試合後に選手同士が健闘をたたえてユニフォームを交換していたはずです。
衣装の上着を脱ぐわけにはいきませんし、これで友好を深める事が出来れば……。
アーニャ「ほたる、貴女は本当の心とわかりました……。パパは昔、氷の川で泳いでいました。
ヤー……だから、アイドルを頑張りますね。んん……伝わっているかな……」
アーニャさんの差し出してくださった手を取って、握手を致します。
事務所が違う為世間ではライバル扱いされてしまうのかもしれませんが、私達はきっと良いお友達になれると思います。
何時の間にか偉い方々のお話は終わっており、私達の前にマイクとカメラが集中していました。
ですが人込みの中心にいるのはアーニャさん。
自然と私は壇上を降り、壁の花となる事を選んでいました。
『お日様に当て過ぎちゃったんだね。この子はさ、もっと日陰でひっそりと咲いているのが幸せなの』
ふう
人込みから離れると、なんだか落ち着いた気分になります。
仕方がありませんよね。私は、アイドルなのに華が無いって思われていますから。
意地悪な姐達も、こうして壁の花となり王子様を見つめていたんですよね。
私は……舞踏会で12時の鐘の音を越えて踊り続けるのでしょうか?
それとも踊る事を止め、壁の花となるのでしょうか?
あるいは……ガラスの靴を置いて逃げ出してしまうのでしょうか?
『泣いたり笑ったり、出来なくさせてやるであります』
そうですよね。ここまで来てしまったのですから、泣いても笑っても悔いだけは残さないようにしたいですね。
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