過去ログ - 白菊ほたる「手を取り合って」
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/04(日) 18:24:35.22 ID:J9Yav5ZU0


―――どんな夢も願っていれば いつかは叶うよ―――


 口遊む歌詞が、むなしく響きます。

 伝説のアイドル日高舞に憧れた私は、幼稚園へ通うよりもアイドル事務所へ務める事を母へと願いました。
母は随分と渋りましたが、私のわがままを受け入れアイドルへの道を示してくれたのです。


 あれから9年。
様々な事務所を渡り歩いておりますが、私 白菊ほたるには……お仕事が……ありません。


 後で知った事ですが、最初の事務所は母のかつての同僚が起こした事務所であったそうです。
子役専門のモデル事務所であり、年が近いおかげで仲の良いお友達も出来ました。
しかしながら所長がハリウッドへ移住するとの事とで、事務所が閉鎖されてしまいました。

 次にお世話になった事務所は資金繰りに行き詰まり、早々と倒産してしまいました。
なんでも暴力団の地上げに遭い、事務所は重機で破壊されてしまったそうです。

 その後も幾つもの事務所の門をたたきましたが、アイドル活動とは程遠い名ばかりの事務所が大半でした。
脱税・密入国斡旋・資金洗浄等々、どこへ行っても経営者が不法収入を得ようとして警察の御厄介になり事務所が潰れてしまいます。
なぜか私が事務所へ勤め始めると先輩アイドルの引退が相次ぎ、経営が火の車になってしまうらしいんですよね。

 ニートショック 血のバレンタイン 門番廃止 着ぐるみフェス アリスゲーム etc

 新聞の社会面を賑わす、芸能事務所の連鎖倒産には物心ついて以来一度も回避できた記憶がありません。
爆死の2文字と共に一夜にして事務所が更地となった事も、両手の指では足りないくらいです。


―――どんな夢も願っていれば いつかは叶うよ―――

 何時しか口癖となった歌を口遊みながら、私は広い北海道の大地で途方に暮れていました。

 【病みのゲーム勝利により事務所を閉める事と相成りました】
修学旅行で札幌へとやって来た私は、このメールによって帰る場所を失ったのです。
勝利したのに事務所を閉めるとは奇妙な文面ですが、私の直感が事務所はすでに潰れていると教えてくれます。
そしてこの直感はきっと正しいのでしょう。







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