344:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/08(木) 16:50:25.89 ID:k54mKbLD0
「なぁ、京太郎」
教室から移動して、テラスに来た私は彼が作ってくれた弁当を前に話を続ける
「欲張りな私は手に一杯持っていないと安心出来ない……こんな私でもお前は愛してくれるのか?」
「…? そんなこと、当たり前じゃないですか」
彼がきょとんとした顔で答えた
彼が作って来てくれた弁当はいつも通りとても美味しそうだった
ピンクに可愛らしく色付けされたごはん。
バランスをきちんと考えられた色とりどりのおかず。
そして、私の好きな甘いデザート。
「だって、俺は菫のことが大好きだから」
彼は何のためらいもなくさらっとそんな事を言った
こいつは昔からこんなやつだった
付き合う前も、食堂で私に突然好きだなんて言ったりして…
「はい、あーん」
彼が箸を取って私の口に黄色い出し巻き卵を運ぶ
甘く味付けがされたその卵は私が甘いものが好きだということを考慮してのものだろう
何だこいつ、こいつは私の彼女か?
「食べないんですか?」
「……いただきます」
彼は無意識にあんなことを言っているのだろうか、この男は本当にーーー。
そんな事を考えていると顔に火照りを感じた、恐らく私は彼にさくらんぼのような真っ赤な顔を晒しているのだろう。
その顔を見て彼は、また笑う。
「かわいいよ、菫」
そう言って、彼は空いている方の手で私の頭を撫でる。
本当にずるい奴だ、そんな事をされたら欲張りな私はお前を放せなくなってしまうじゃないか
「冷めちゃいますよ〜」
ニヤリと彼が悪そうに笑った
冷めるわけも無い弁当の卵を冷めるなんて…
そんな事を考えながら私はぱくりと卵に噛りつく
とてもとても、甘い卵の味が口に広がった
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