564:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/24(火) 22:32:15.23 ID:5yb0SjTuo
<今は不思議と迷いがないの>
兄(ようやく寝てくれた。ぎりぎりまで俺に悪いからって頑張って起きていようとしたけ
ど)
兄(・・・・・・姫)
兄(可愛い寝顔だな。もう十七年間も姫の顔を見続けてきたのに。今でもいつまでだって
姫を眺めていられる)
兄(渋滞でファミレスを出てから多分まだ一キロも進んでないと思うけど。姫とこうして
二人きりで車内で過ごせるなら全然気にならないな)
兄(・・・・・・だけど。手放しで喜べるかと言うと)
妹『そうじゃないの。あたしはパパとママが大好き。だから決心はしたんだけど、それで
も今はいろいろ考えちゃうの』
兄『どういう意味?』
妹『後悔はしないと思うし、お兄ちゃんの彼女になれて長年の夢がかなったので今はすご
く幸せな気分』
兄『・・・・・・』
妹『でも、お兄ちゃんと恋人同士になるっていうこと自体がパパとママへの裏切りだよね。
こんなに大事にしてもらっていたのに、ばれたら絶対二人とも悲しむよね。そう思うとち
ょっと恐い』
兄『・・・・・・悪い』
妹『あたしが自分で選んだんだもん。お兄ちゃんが謝る必要なんかないよ』
兄(俺は結果的にすげえ残酷な選択を姫に強いたんだ。俺が最初に姫に告ったときはそん
なことは何にも考えてすらいなかった。本当に俺って考えなしの大バカ野郎だ)
兄(姫は最初からわかってたんだ。俺の告白に応えるというのがどういう意味なのか)
兄(両親は姫を溺愛している。姫も他の何よりも自分の家族が大好きだ)
兄(俺と付き合うということは、その大切な家族を裏切って捨てるということだもんな)
兄(だから妹は最初は俺の告白を断った。それはそうだ。あいつにとっては何よりも大事
な家庭を捨てるなんて選択肢はなかったんだから)
兄(そんな妹の想いを踏みにじって俺は勝手に一人暮らしを始めたんだ。今にして思えば
考えなしの大バカだった。妹にとっては両親と俺とセットではじめてあいつの好きな家族
が成り立っているというのに)
兄(そう考えると俺のやったことは一種の脅迫のようなもんだ。わざとではないけど、結
果として俺と付き合わなければ俺はもう今までどおりの家族の一員にはならないって脅し
たんだもんな)
兄(最初に姫に告ったときあいつは)
妹『卑怯だ』
兄『何でそうなる』
妹『それって脅しじゃん。あたしがお兄ちゃんの告白に応えなきゃ、これまでどおりの仲
のいい兄妹関係はお終いだって言ってるんでしょ』
兄『脅しじゃねえよ。それにお終いと言ったって、表面だけ取り繕った最低限の会話くら
いはおまえとするように努力はするし。まあ、仮面兄妹っつうの?』
妹『やっぱり脅しじゃない』
兄『おまえが俺のことを好きじゃないならそんなこと気にならないだろうが。おまえには
友だちも彼氏君もいるんだし』
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