724:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/20(日) 23:54:27.94 ID:TvJiHvs/o
<蜜月>
兄(夢を見ているのかもしれない)
兄(これは覚めることのない夢だ。すごく日常的でありながら、いつまでも続いて欲しい
と心底から願えるような夢)
兄(とりあえず、昨日は姫が俺のベッドにそっと入ってきた。そして俺に寄り添っ
て・・・・・・・。Tシャツ越しの姫の華奢な骨格)
兄(まあ、俺と姫はもう結ばれているので別にああいう状況が始めたと言うわけじゃない
んだけど)
兄(でもなんか違った。抱くとか抱かないとか、寝るとか寝ないとかじゃねえんだ)
兄(そういうことじゃない。腕の中の姫は細くて小さくて。普通ならあるべき親の庇護を
亡くした姫のことが俺は何よりもいとおしくて)
兄(姫を好きだというだけなら昔からそうだ。でも、ここまで姫を守りたいと思ったのは
初めてだ)
兄(身近な幸せに気がついた俺だけど。前みたいに姫と寄り添って有頂天になるというよ
り、もっと真面目で静かな思いを込み上げてくる。俺が姫を守るんだなんて、大袈裟に言
う気はねえけどさ)
兄(大学に着いたばかりなのにもう家に帰りたくなってきた。別に帰っても姫は学校だし
姫と会えるわけじゃねえけど)
兄(今日も姫から弁当を渡された。これだけが楽しみだ)
兄(よし。勉学に励もう。成績をよくしていい企業の内定を勝ち取ろう。姫に不自由させ
ないために。父さんなんかに負けないために)
女友「おーい」
兄(負けちゃだめだ。負けちゃ)
女友「一限から寝るなよ」
兄「負けちゃ・・・・・・むにゃ」
女友「君が何と戦っているのか知らないけどさ。とりあえず目の前の一限の講義と戦った
らどうかな」
兄「逃げちゃだめだ・・・・・・ってあれ。女友か」
女友「逃げちゃだめってあんたは碇シンジか」
兄「何言ってるの? おまえ」
女友「それはこっちのセリフだって。何でいきなり寝てるのよ」
兄「つい」
女友「そして君は夢の中で何と戦ってたのかな」
兄「・・・・・・何でもいいじゃん」
女友「君もわけわかんないよね」
兄「何で?」
女友「前に会ったときはこの世の春みたいな明るい顔してたくせにさ」
兄「別に今だって暗いわけじゃねえよ」
女友「うん。それはそうだ。何か複雑な表情で寝ぼけてたよ」
兄「複雑なって」
女友「何か大人の表情っていうの? ちょっとだけ格好よかった。あの表情だけならモデ
ルになれるかも」
兄「何なんだよ。それに表情だけって」
女友「やべ。教授が見てる。ほれ、テキストに集中しろよ」
兄「あいよ」
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