783:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/07(木) 23:47:47.01 ID:/jDgoB6To
<お兄ちゃんが好きです>
あたしが朝早く起きて作ってきたオムライスはあたしが事前に考えていたほどお兄さん
の歓心を得ることはできなかったようだった。というか、朝の五時に起きて作ったと言っ
たらマジで引かれてしまった。冗談のつもりだったのに。でもそんなことはどうでもいい。
今日はあたしのお兄さんへの願望をかなえようとしてきたのではない。
妹ちゃんはお兄さんと女さんのことを知って傷付いている。そして、あろうことかあた
しのお兄ちゃんの妹ちゃんへの気持ちすら無視してでもお兄さんへの気持を再考しようと
すらしている。
双方の両親の浮気とお兄ちゃんの復讐心のことは心の底で重苦しくあたしを悩ませてい
たけど、それでもあたしのすることは一つだった。
あたしはお兄さんに言った。
「妹ちゃんが彼氏を好きな気持を理解してあげてください」
「理解しろと言われても。妹とおまえの兄貴が好きなようにすればいい話じゃねえの」
「昨日、妹ちゃんは泣いてました」
「おまえ妹と会ったの?」
「はい。泣き腫らした目で電車から出てきたところを見かけたんで、とりあえずスタバに
連れて行って話を聞きました」
「それで妹ちゃんを宥めているとようやく彼女が泣いていた理由を話してくれました」
「と言われても何がなんだかわからん」
「妹ちゃんが自分のことを好きかも!? やったー! って単純に考えなかったのはお兄
さんにしては立派です」
あたしは妹ちゃんがお兄さんのことで悩んでいるのを聞いてもそれほど動じなかったお
兄さんの態度に励まされ、言葉を畳み掛けた。
「お兄さんには女さんという彼女がいますしね。今さら妹ちゃんに告られても困りますよ
ね」
「・・・・・・うん。まあそう・・・・・・かな」
お兄さんは不得要領に答えた。
「その女さんって兄友さんっていう人から別れたばかりだって聞きましたけど、そのうえ
お兄さんにまで振られたら自殺しかねませんよね」
これはひどい言い方だったけど決して嘘ではなかったと思う。
「うちのお兄ちゃんだってそうです。できたばっかの彼女に会えないって言われて落ち込
んでますし、このうえ振られでもしたら」
「そうだけど」
「年上の男の余裕を見せてください」
「どうすればいいの」
「妹ちゃんと仲直りしてください。単なる仲のいい兄妹として」
お兄さんは黙ってしまった。
「そんで、お兄さんは女さんと、妹ちゃんはうちのお兄ちゃんと付き合えば何の問題も生
じないじゃないですか」
「そうかもな」
「そうですよ」
「妹のことはわかった。俺だって一度は振られてるんだし妹に付きまとう気なんかねえよ。
ちょっと意地になってたけど、妹とは普通に話せるように努力するよ」
「それが一番いい解決策だと思います。誰も傷付かないし」
「じゃあ、善は急げだな。妹にメール出すぞ」
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