785:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/07(木) 23:52:22.68 ID:/jDgoB6To
お兄さんに自分の行動の理由がばれたかと覚悟したこのとき意外な救いが訪れた。お兄
さんの思考は、あたしのお兄さんへの好意を追求するのではなく、あたしのお兄ちゃんへ
の好意を追求する方に向いたのだ。
あたしはこのとき正直ほっとした。そして急に自分の意思を取り戻したようで、お兄さ
んに答える言葉も脳裏にしっかりと浮かぶようになって、あたしは狼狽した状態から自分
を取り戻すことができた。
あたしが好きなのはお兄さんだったから、端的に言えば目の前のお兄さんに迫ればいい
だけの話だ。お兄ちゃんとか妹ちゃんとか女さんのことを考えないでいいなら、あたしの
したいことは今では明白になっていた。
「それは兄妹ですから」
とりあえずお兄さんの的外れとは言えないけど、今ではもう興味を失っている話題に答
えるしかなかった。
「異性として好きだろ?」
「頭」
「沸いてねえよ。何で俺の妹とおまえの兄貴の仲を取り持ったりしたんだ? おまえがつ
らくなるだけってわかっていたのに」
「・・・・・・本当に無駄に察しがいいんですね。恋愛スキルもないくせに」
「お互い様だろ。俺もおまえも自分の実の妹とか兄とかしか見てこなかったんだから。お
まえを見てるとまるで鏡を見てるようだしな」
「覚えていたんですね。前にうっかり失言しちゃったことを・・・・・・」
ここであたしは泣き出した。演技でなく場合でも、頑張れば涙は出るものだとあたしは
このとき悟った。それはお兄さんの言っていることが的外れではなかったせいもあるだろ
う。確かについこの前まであたしはお兄ちゃんのことが好きだったのだ。
いや。世間体とかがなければ今でもあたしはお兄ちゃんのことを好きなままだったかも
しれない。
「お兄ちゃんが好きです」
あたしは自分の意思に関らず、そうお兄さんに答えてしまったようだった。それがよか
ったのかどうかは今でもわからない。
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