787:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/07(木) 23:54:39.74 ID:/jDgoB6To
「解説なんていらないでしょう。お兄ちゃんと妹さんなら、あるいはお兄さんと女さんな
ら恋人同士の先にはいろいろと行く先があるんですよ。実際にそこまで行き着けるかどう
かは別としてですが。可能性としては、婚約して結婚してパパとママになって孫ができ
て」
「まあな」
「あたしやお兄さんの恋は違いますよね? 奇跡的に想いがかなったとして、恋人同士に
はなれるかもしれない。でもその先はどうなるんです?」
心の底ではこの質問に対するあたしの答が用意してあった。いや回答というよりは望み
だったのかもしれない。
あたしとお兄さんが付き合えばそんな不毛な将来はない。お兄ちゃんと妹ちゃんだって
そうだ。二組の恋人たち。
もうそれでいい。恋愛関係にはなれない組み合わせはできてしまうけど、それであたし
たち四人は親しいままこの先の人生を送っていける。ひょっとしたら、お互いの両親の不
倫さえ克服できるかもしれない。この関係によって。
「あくまでも仮定の話だけどさ。別に結婚とか出産とか育児とか、それだけが目標じゃな
いカップルがいたっていいんじゃね」
「一生恋人同士、それも人には言えない関係でっていうのもあるのかもしれませんけど、
他の選択肢があるのにわざわざそんなつらい一本道に入ることを選ぶ必要なんてないでし
ょう」
「いろいろお兄さんを騙してしまってごめんなさい。あたしは別にお兄さんを好きでも何
でもないです」
「それは別にいい。俺だっておまえを好きになったわけじゃないし」
「正直なのも過ぎると罪悪ですよ」
「何だって?」
「まあいいです。でも、その上でやっぱりあたしはお兄さんにお願いします。うちのお兄
ちゃんのためだけではなく、お兄さんとあたしのためにも」
「何だよ」
「そのメール。今すぐ送信してください。お願いします」
本当はここでお兄さんが好きだと言ったほうが良かったのだろうか。でも、お兄ちゃん
が好きだと言ってしまったばかりだったあたしは、自分の言葉に束縛されていたのだった。
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