過去ログ - 妹と俺との些細な出来事
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834:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/15(金) 22:00:27.34 ID:ijVZ6DH4o

「まあ次のシャッフルでは助手席に座るのは妹ちゃんだからあんまり落ち込まないでくだ
さいね」

「俺は別に落ち込んでねえぞ」

「態度でバレバレでしたよ。お兄さんが妹ちゃんと仲良くできなくて拗ねていることが」

 そう返したあと、あたしは自分の言葉が自分の心の方に向って帰ってきたことを感じ取
って、気軽な気分のまま言い過ぎてしまったことを後悔した。せっかくここまで楽しくお
話できていたのに。ここでお兄さんがそれを肯定しないまでも、表情が暗くなったりした
ら最悪だ。

 ・・・・・・最悪? あたしは自分の心を見つめなおし瞬時に今自分がしたいことを理解した。
それを理解してしまったことによって、自分の考えなしの言葉を更に後悔する羽目にもな
った。

 でもあっさりとお兄さんはその質問を否定した。

「それはおまえの誤解だ」

「そうですか」

 もう疑うのはやめてもいいのかもしれない。たとえお兄さんが妹ちゃんのことを好きだ
ったとしても、その事実を確認しようとしても、そこには何の利益も生じないだろう。あ
たしは自分が兄友さんにしたアドバイスを思い出した。



『幸い女さんは今心身ともに辛い状況でしょうから、その状態に付け込むんです』

『それは卑怯じゃないかな』

『あなたにはそんなことが言える権利も余裕もないと思いますけど』

『・・・・・・そうかもだけど』

『まあ、でも今は女さんも自分の心の痛みしか見えてないでしょうけど、そのうちに気が
つくと思いますよ。自分が一番つらかったときに自分の横でそっと支えてくれた人の存在
を』

『それって俺のこと?』

『そういう存在になるように頑張ってください。あんまり早まって迫らないようにして、
いい友人として女さんを支えるようにするんです。そうしたらいつかは女さんは気がつく
でしょう。つらい自分を無償の愛で包んでくれていた人の存在を』



 これはまさに今の自分にこそ当てはまるのではないか。兄友さんにしたアドバイスがま
さに自分の状況にぴったりと当てはまっていることに少し感慨に耽っていたあたしにお兄
さんが聞いた。

「おまえはどうなの」

「え?」

「おまえだって大好きな兄貴の隣で一緒にいたいんじゃねえの」

「まあ否定はしません。でも意外と楽しいんですよね」

「何が」

「ファミレスでお兄さんの注文を手伝ったり、ドライブ中のお兄さんの隣の席にいること
がです」

「え」

 あまりにも気持を無理せずに流れるままで話をしていたせいだと思う。こんなことを言
う気はなかったのだけど、あたしはつい本音を漏らしてしまったみたいだった。

「あたし、どうしちゃったんでしょうね。今までお兄ちゃん以外の男の人と一緒にいて楽
しいなんて思ったことはなかったのに」

「まあ何と言っていいのかわからんけど、それはそれでよかったのかもな」

「どういう意味?」

「いや、どういう意味って」

「お兄さんもそうなんですか」


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