842:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/19(火) 22:59:08.90 ID:8/j3DU9wo
<BBQ>
夕食の食材買出しは予想していたとおりあたしと妹ちゃんの仕事になった。気軽に発言
しただけのお兄さんに反発した妹ちゃんの態度には多いに問題があるとあたしは思ったけ
ど、それと食材の買出しを手伝うこととは別な話だ。
今夜は別荘の海に臨むお庭でバーベキューをするということだったので、買物に迷う必
要はない。あたしは相変わらずお兄さんに対しては好戦的で、あたしとお兄ちゃんに対し
てはしごく好意的な妹ちゃんと和やかに買い出しをしていた。なんだかあの図書館脇の公
園での妹ちゃんの怒りが嘘のようだ。
「何でアスパラ?」
「何でって?」
「普通バーベキューでアスパラって使ったっけ?」
「あれ? 普通は使わないの」
「どうだろ。あまり聞いたことないけど」
「そうなのか。じゃあやめるか」
「好きなら買ってもいいんじゃない?」
「別にいいや」
もうだいだい必要な買物は終えたところで、あたしはお兄ちゃんから声をかけられた。
「妹、ちょっと」
「お兄ちゃん? どうしたの」
「歯ブラシとか忘れちゃってさ。買っときたいんで一緒に来て」
何を言っているんだろうこの人は。歯ブラシを買うのにこれまであたしのアシストを求
めたことなんか一度だってないくせに。
「何で一緒に行く必要があるの?」
あたしはそう言った
「いや、どういうのがいいのか僕じゃよくわからないし」
正直に言ってこのときのあたしが気にしていたのはお兄さんだったから、以前だったら
飛び上がるように嬉しかっただろうお兄ちゃんの弱気な誘い受けはあたしにとってはうざ
いだけだった。
でも、今さら急に態度を変えるわけにはいかなかった。それはお兄ちゃんにも妹ちゃん
にも不信感を与えるだろうということは、馬鹿なあたしにも容易に理解できたことだった。
「もう。あたしがいないと歯ブラシも買えないんだから。しようがないなあ」
「妹ちゃんちょとだけごめん。お兄ちゃんの買物に付き合ってくるね」
「うん」
「ほら、行くよお兄ちゃん」
「うん」
お兄ちゃんは案の定妹ちゃんの表情を伺いながらそう答えた。理解できない。お兄ちゃ
んは何を考えて歯ブラシごときであたしを頼ったのだろう。
でもその答えはすぐにわかった。
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