846:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/19(火) 23:02:01.90 ID:8/j3DU9wo
そんなに広い庭ではなかったから妹ちゃんの意図に気がつくことは難しいことではなか
った。何がトイレよ。お兄さんと仲良くすることはしかたない。なんと言っても二人は家
族なのだから。でもそれをトイレとかって誤魔化してお兄さんに擦り寄るのは卑怯だ。お
兄ちゃんの行動とどっちが卑怯なのかと思えるほどに、あたしは妹ちゃんの行動に憤った。
妹ちゃんを目で追うと、彼女はお兄さんが一人でベンチに座っているところに真っ直ぐ
に向った。
妹ちゃんはお兄さんの隣に座って何か話しかけているようだった。二人の距離は恋人同
士のそれのようだ。何か話をしていた二人だけど、突然、妹ちゃんがお兄さんにキスした。
その瞬間あたしの心臓が止まった。
「洗い物もだいたい終ったね」
「結局お兄ちゃんも彼氏君もバーベキューセットをしまったくらいで義務を果たした気に
なってるし」
「あはは。でも男の子なんてそういうもんだって」
「だってそんなの不公平じゃん」
「そう言われてもさ。そういう風に育てられて来てるからね。お兄ちゃんも。きっとお兄
さんもそうだろうし」
「うちのお兄ちゃんはうざいくらいあたしの台所仕事を手伝いたがったけど」
「うちのお兄ちゃんとは大違いだ」
「運んできたぞ。多分、これで洗い物は最後だ」
「意外とお兄さんってまめなんですね」
「男女間の性差に基づく議論なら今からでも相手になってやるけど?」
「やめなよ。大人気ない」
「いつでも相手になってあげます。けど、今は洗い物があるので」
このときあたしは本当にそう思ったのだ。
「逃げたな」
「お兄ちゃん!」
「風呂入ってくる」
「お風呂から二度と出てくるな」
妹ちゃんのそのお兄さんに対する何気ない悪口にまで、あたしは嫉妬していた。
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