過去ログ - 妹と俺との些細な出来事
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854:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/19(火) 23:13:53.35 ID:8/j3DU9wo

 あたしはもうあまり考えずに爪先立って背の高いお兄さんに寄り添った。お兄さんに回
した腕は彼の少し痩せ気味の背中に回されていた。それは自分の意思で行われたことなの
だけど、あたしにとっては夢の中の出来事のようだった。

「・・・・・・・お兄さんに言われたとおりにキスしましたよ」

 あたしは表情を変えずに冷静にそう返せたはずだったけど、胸は激しく動悸を繰り返し
ていたのでお兄さんに気づかれたかもしれなかった。でもそれすらもうどうでもよかっ
た。

「お、おまえなあ」

「どっちかと言うとお兄さんの方が真っ赤じゃないですか。今日はどっかに遊びに行くん
ですか」

「・・・・・・妹は近くにある水族館に行こうって行ってたけど」

「そうですか。一つお願いがあるんですけど」

「何だよ」

「今日はあたしとずっと一緒にいてください」

「何で?」

「その方がきっとお互いに楽ですよ」

「・・・・・・姫が嫉妬すると思う」

「それに動揺しないで、いいお兄さんとして振る舞ってください」

「まあ、そうなんだが」

「勝手言ってごめんなさい。あたしまた前と同じことをしようとしているのかもしれない
けど」

「まあ、正直に言えばそんな気もする」

「でも動機は前とは全然違うんです」

「そうなの」

「ええ。前はお兄ちゃんを諦めるためというのが主な理由だったんですけど」

「今は違うのか」

「はい。今のお願いはどちらかというと自分の願望をかなえるためです。あたしのわがま
まですね」

「どういう意味?」

「こういう意味です」

 あたしは爪先立ってお兄さんの首に手を巻きつけた。その朝、あたしはお兄さんに二度
もキスしたのだった。


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