862:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/27(水) 22:25:15.85 ID:cHjlU9dDo
「お兄さん、ひょっとしてあたしと二人きりになるのが嫌なんですか」
意図しなかったことだけど少しだけ責めるような口調になってしまったのかもしれない。
勝手にしたことに多くの意味を持たせようとする気はなかったのだけど、それでも早朝の
あのキスの後にこういう態度を取られたことは寂しかった。
「そんなことねえけど」
「それともやっぱり妹ちゃんのことが気になりますか」
「いや。それはやっぱり気にはなるけど、気にならないようにしなきゃいけないと思って
るよ。だからおまえと二人でも全然嫌じゃない」
「そうですか」
「おまえはどうなの?」
「どうと言いますと?」
「兄貴を取られちゃうみたいで落ちつかないんじゃねえの」
「今はもう全然そんな気はなくなってしまいました。以前を考えるとまるで嘘のように」
「どういうこと」
「前は確かにお兄ちゃんと妹ちゃんが二人でいると落ちつかなかったんですけど」
「ブラコンだもんな。おまえ」
「お兄さんにだけは言われる筋合いはこれっぽっちもないと思います」
「・・・・・・まあ、そうかもしれん。で、今はどうなの」
「今はお兄さんと妹ちゃんが二人きりでいる方が心配で落ちつきません」
「どういう意味だよ」
「そのままの意味ですよ」
「おまえ、俺のことなんか好きでも何でもないって前に言ってなかったっけ」
「言いました」
「じゃあ何で」
「そんなのわかりません。気になるんだから仕方がないでしょ」
ここまであたしにしては珍しく嘘は言っていない。フェイクさえないのだ。
「おまえひょっとして俺のこ」
「お待たせ。やっと買えたよチケット」
妹ちゃんとお兄さんが戻って来た。ようやく入場券を買えたらしい。
「チケットを買うだけで四十分ですからね。中は相当混雑しているでしょうね」
お兄ちゃんが言ったけど、そんなに心配している様子はない。妹ちゃんとのツーショッ
トに満足しているのだろう。
「はぐれないようにしないとね」
妹ちゃんが言った。はぐれてもいいのよ。あたしはそう思った。
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