865:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/27(水) 22:26:58.91 ID:cHjlU9dDo
<不機嫌>
結局この後妹ちゃんの前に姿を見せたお兄さんに、妹ちゃんは半分泣いて怒りながら抱
きつくという結末となってしまった。あたしのささやかな計画のせいで妹ちゃんを悩ませ
たことは申し訳ないと思うけど、それにしてもこれはいくら仲のいい家族であり兄妹であ
ったとしても行きすぎではないか。
妹ちゃんとお兄さんは和解したのだけど、そこから先は妹ちゃんはべったりとお兄さん
にしがみつくようにして、お兄さんの側から離れなくなってしまった。当然、何の説明も
なくあぶれたお兄ちゃんは釈然としない様子であたしと一緒にペンギンのいる大きな水槽
の周りを歩いていた。ペンギンになんか少しも目をくれず。
「お兄ちゃんさっきからペンギンじゃなくて妹ちゃんばかり見てるじゃん」
あたしは優しくからかったつもりだったけど、お兄ちゃんの反応は予想外に激しいもの
だった。
「当たり前だろ」
吐き捨てるようにお兄ちゃんが言った。「何でいきなり妹がバカ兄貴にべったり抱きつ
いて一緒にいるんだよ。おまえ、何か妙なことを吹き込んだんじゃないだろうな」
「そんなことしてないよ」
あたしは予想もしなかったお兄ちゃんの剣幕に驚いて言い訳した。
「いったい何なんだよ。最初は四人でいたってよかったんだよ。徐々に彼女と二人きりに
なれればよかったのに。おまえが頭の悪いこと考えて、わざとはぐれようとかするからだ
ろう」
「何の証拠があって」
「さっき妹が言ってたんだよ。妹友ちゃんがバカ兄貴と二人きりになろうとしたせいだっ
て。僕もそう思うよ。おまえ、あの兄貴と二人きりになりたくてわざとこんなことしたん
だろう」
「それは。えと」
確かにそれは事実だったからあたしは何も反論できなかった。
「おまえがあの兄貴を好きになるのは勝手だけどよ。僕と妹のことを邪魔するのはよせ」
「あたしは邪魔なんか。むしろ応援しようと思って」
「それが邪魔だっていうんだよ。応援してくれるならおまえは何もするな。僕の計画の邪
魔になるだけなんだから」
「計画って。妹ちゃんのパパを苦しめるっていうあれ? まだそんなこと言ってるの」
「あたりまえだ。そのために僕は妹ちゃんに近づいてるんだし、あの低脳のバカ兄貴に媚
びてるんだ。それをおまえが邪魔したんだ」
四人で普通に仲良くなれないのだろうか。そうでなければあたしはこれ以上お兄ちゃん
を応援できなくなってしまう。いろいろ喧嘩もしたけど結局妹ちゃんはあたしにとって唯
一の親友だ。それにお兄さんの大切な妹ちゃんをそんなことに利用させるわけには行かな
い。それを黙認したらあたしはお兄さんと親しくなる権利すら失ってしまう。
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