867:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/27(水) 22:28:18.77 ID:cHjlU9dDo
それはお兄ちゃんの言うとおりだった。そしてそれを知った妹ちゃんがどんなに苦しむ
ことになるのかも容易に想像できた。
「確かに僕は妹ちゃんの父さんへの復讐もあってこういうことを考えたんだけど、もう少
し考えればこのことを逆手にとって母さんとあいつの仲を清算させることだってできるか
もしれないんだ」
「そんなの無理だよ」
ずいぶんと非現実的な考えに思える。現実主義者のお兄ちゃんがそんな夢のようなこと
を本当に考えているのだろうか。
「無理じゃないよ。妹ちゃんはファミコンかもしれないけど、あいつだって自分の娘のこ
とが大好きだって言ってたじゃないか」
「それは本当みたい。お兄さんもそんなことを言ってたし」
妹ちゃんのパパが何よりも大切なものは妹ちゃんらしかった。多分、あたしのママを愛
するよりももっと深く。パパは妹ちゃんのママよりもあたしのママを選んだのかもしれな
いけど、それでも彼にとって一番大切なのは妹ちゃんであることをあたしは疑っていなか
った。
「だったら僕が悪者になって、母さんを奪い家庭を壊したあんたへの復讐のために、あん
たの娘を弄んで傷つけるぞって言ったらどうなる?」
「妹ちゃんにお兄ちゃんと別れるように言うだけだと思う」
「そんなこと言えるかよ。そしたら僕が不倫のことを妹ちゃんにばらすってわかってるの
にさ」
意外と現実的にありえる話なのだろうか。少なくともお兄ちゃんは自身ありげだ。
「じゃあどうなるのよ」
「妹ちゃんのためなら浮気な恋愛遊びなんか諦めるだろうさ。そしてその方が母さんにと
ってもいい。あんな男に弄ばれて家庭を壊すような馬鹿なことをしでかすより」
「妹ちゃんのパパがお兄ちゃんの言うとおりにしたら。そしたらお兄ちゃんは妹ちゃんの
ことはどうするのよ」
「それは・・・・・・」
お兄ちゃんが目を逸らした。そのときあたしはお兄ちゃんの考えていることが全て理解
できた。あたしが目を逸らしていただけだ。そんなことはお兄ちゃんに片想いしていた頃
からわかっていたことだったのに。
お兄ちゃんはやっぱり妹ちゃんのことが好きじゃないのだ。お兄ちゃんが救いたいのは
本当は妹ちゃんじゃない。
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