879:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/30(土) 23:03:45.16 ID:50yeFttko
かけなおすとすぐに妹ちゃんが出た。
「うん、あたし。もう、さっき電話したのに出ないんだもん」
「ごめん。気がつかなかった。お兄さんは一緒にいるの?」
「うん、そうだよ。シャチのショーをお兄ちゃんと二人で見てたの。妹友ちゃんは?」
「あたしもシャチのショーを見てた」
「え。会場にいたんだ。わからなかったよ」
「まあすごく混んでたから」
「でさ。そろそろ爬虫類パークに移動したいんで、出口で待ち合わせしようよ」
「うん・・・・・・。でもお兄ちゃんがどこにいるかわからない」
「へ。彼氏君と一緒じゃなかったの?」
「まあそうかな」
「じゃあ、彼氏君に電話して。どこかでお昼食べてから爬虫類パークに行くから」
「ええとね。あの」
「よろしくね」
あたしがお兄ちゃんと喧嘩したことを伝えようとする前に、妹ちゃんは電話を切ってし
まった。とりあえず妹ちゃんたちと合流するほかに選択肢はなかった。あたしはシャチのショーの
看板が飾られていた入り口の方に向った。
「やっと会えました」
妹ちゃんがあたしの微笑みかけた。それは何の後ろめたいこともない素直な表情だった。
それはさっきお兄さんとはぐれてパニックになった妹ちゃんとは思えないほど、いつもど
おりの態度だ。
「ごめん。ちょっとトラブってて」
「何かあったの」
ここで嘘を言ってもしかたがない。お兄ちゃんと合流すればお互いの態度でばれてしま
うだろうから。
「ああ、別にたいしたことじゃないんだけどさ。ちょっとつまらないことでお兄ちゃんと
喧嘩しちゃって」
「何で喧嘩なんかしたの? いつもは仲がすごくいいのに」
妹ちゃんには言われたくなかった。たとえ彼女がお兄ちゃんに狙われている犠牲者だと
しても。お兄さんの前ではそういうことを言われたくない。
「・・・・・・別に」
「妹友ちゃん?」
「別に妹ちゃんが心配することじゃないよ」
思ったより温度が低い声になってしまったかもしれない。
1002Res/1210.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。