892:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/03(火) 22:26:56.13 ID:C4ok9ZQlo
でもあたしは間違えていたのだ。今この耳に届いた妹ちゃんの言葉を聞くともうそうと
しか考えられなかった。あたしが自分の恋を成就するに当たって警戒すべきはもうお兄さ
んの気持ではなく妹ちゃんの気持なのだろう。
『・・・・・・あたしのこと、もう姫って呼ぶのやめたんだ』
自分の兄貴から姫って呼ばれることを妹ちゃんは嫌がっていたはずだ。少なくとも人前
でそう呼ばれることに抵抗があるのだとあたしは思い込んでいたのだけど、その思い込み
は一瞬で吹き飛んでしまった。
もう認めざるを得なかった。この兄妹は兄が妹を溺愛しているのではなく妹が兄を求め
ているのだ。それも男女的な恋愛的な意味で。
はっきりとそう悟ったそのとき胃のむかつきとがくがくしていた足の震えが止まった。
考えてみれば今のあたしは今までで一番自由だった。もうマザコンのお兄ちゃんに手を
貸す必要はない。そして既にお兄さんは恋愛的な意味では妹ちゃんを諦めている。それな
ら話は簡単なことじゃないか。妹ちゃんは確かに可愛いし、こういう一見清楚に見える女
の子を好きな男の子には魅力的かもしれない。でもそういう意味ならあたしだって負けて
はいないはずだ。少なくともこれまで男の子に声をかけられ告白された人数を考えれば。
それにお兄さんが妹ちゃんのことを諦めている以上、多分妹ちゃんはもうあたしの敵で
はないのだ。
「ファミレスにでも寄って行くか」
それきり妹ちゃんが黙ってしまったので、お兄さんがそう提案したけど、妹ちゃんの言
葉のショックから立ち直りだ出していたあたしはとっさに提案した。
「・・・・・・いえ。スーパーに行きましょう」
「だって」
「ちゃんと妹ちゃんと話してみます。最悪の場合でも、あたしが一人で料理しますから」
もうちゃんと話なんかできなくてもいいのだ。
「・・・・・・いいのか」
「ええ。あたし、こう見えても料理得意なんですよ」
「そうなん?」
「うちもお兄さんのお家と一緒で両親は共働きですし、料理は慣れてますから」
「じゃあ。おまえがいいならスーパーに行くか。最悪の場合は俺も手伝うから」
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