894:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/03(火) 22:28:16.55 ID:C4ok9ZQlo
あたしの用意した穴子丼がお兄さんには好評だったことと、どういうわけか妹ちゃんが
あたしに歩み寄ってきて仲直りしたことでより気軽になったあたしだったけど、就寝の時
間になりお兄ちゃんと二人きりになると、再びあの嫌なストレスに包まれた。今まで以上
にお兄ちゃんは負のオーラをまとっているように見える。
「電気消していい?」
お兄ちゃんは答えなかった。
「ねえ? 聞いてるの」
お兄ちゃんは隣の布団に仰向けに横になって天井を見つめていた。
「・・・・・・うるさいなあ。消したきゃ勝手に消せよ」
「じゃあ消すね。おやすみなさい」
「なあ」
でもお兄ちゃんはあたしをそのまま寝かせてくれるつもりはないようだった。
「・・・・・・どうしたの」
「妹ってやっぱり兄貴のことが好きなのかな」
それはそうかもしれない。でもあたしは黙っていた。正直、もうお兄ちゃんのマザコン
故の卑劣な企みになんか加担したくなかった。あたしがこれまで妹ちゃんをたきつけてま
でお兄ちゃんの味方をしていたのは、お兄ちゃんが純粋に妹ちゃんに恋焦がれていると考
えたからなのだ。今では全く状況が違うし、そもそもあたしにだって優先すべきことがで
きたのだし。
「さっきスーパーで妹ちゃんと喧嘩しちゃったよ」
「喧嘩って?」
関わるべきではないと思ったけど、妹ちゃんが何でお兄ちゃんを怒ったのか知りたくな
ったあたしは返事をしてしまった。
「約束を破るなんて最低だって言われたよ。兄貴の前だけでは付き合っている振りはしな
いって約束したでしょって」
「それはおかしいでしょ。旅行が始まってからは妹ちゃんの方からお兄ちゃんに近づいて
いたのに」
「僕もそう思ってたよ。それで有頂天になっていた。やっぱり付き合う振りをしているん
じゃなくて、本当は僕のことが好きなんじゃないいかってさ」
付き合う振り。
あたしがお兄さんの気持を計りかねていた妹ちゃんに勧めたことがそれだった。お兄ち
ゃんと付き合う振りをしてお兄さんが嫉妬するか確かめてみればいいじゃないって、そう
勧めたのは確かにあたしだ。でも、そのことはお兄ちゃんには秘密にしていたはずなのに。
妹ちゃんがお兄ちゃんにばらしてしまったのだろうか。
1002Res/1210.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。