897:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/03(火) 22:31:43.02 ID:C4ok9ZQlo
温水プールまでの車内の席順は再びシャッフルされた。妹ちゃんが迷わずお兄さんの隣
の助手席に座ったからだ。でもせっかく持参した新しい水着を披露できることに興奮した
あたしにはそのことは思ったより気にならなかった。
お兄ちゃんと二人で後部座席に座ったあたしたちは、昨夜の続きを話すわけにもいかず
に、結局車の単調な振動に誘われて、あたしたちはいつのまにか寝入ってしまった。昨夜、
お兄ちゃんと話していてあまり寝られなかったからだろう。
ふと意識が覚醒した。隣を見るとお兄ちゃんが目を瞑っている。あたしはあとどれくら
いで到着するのか聞こうと思った。そのとき妹ちゃんとお兄さんの話し声がまだ半ば寝入
ってる状態のあたしの耳に入った。
「後ろの二人は?」
「寝てるよ。昨日よく眠れなかったのかな」
「じゃあ、言うね」
「言うって何を」
「お兄ちゃんの告白に対する返事」
「それはもう聞いた」
「前のは取り消し。あとお兄ちゃんにも彼女を作って欲しいというのも取り消し」
「お兄ちゃん。返事をやり直すね」
「おまえは何を言って」
「お兄ちゃん。あたしを好きになって告白してくれてありがとう」
「ちょ、おま」
「返事はもちろんイエスだよ。喜んでお兄ちゃんの彼女になるね」
「着いたよ。妹友ちゃん起きて」
「ああ、うん。ごめん寝ちゃってた」
「爆睡してたよ妹友ちゃん」
「ごめんね」
「別にいいって。それよかチケット買ってきたから行こう」
「・・・・・・うん」
「じゃあねお兄ちゃん。更衣室出たところで集合ね」
「ああ。わかった。彼氏君行こうぜ」
「はい」
お兄ちゃんはさっきの会話を聞いていたのだろうか。それともあれは夢だったのだろう
か。
「行こ」
妹ちゃんが明るく行った。なんだか彼女のテンションがやたら高い。泳げることに興奮
しているだけとは思えない。
「・・・・・・うん」
あれが夢でなかったとしたらあたしはどうすればいいのだろうか。それに肝心のお兄さ
んの返事は聞こえなかったのだ。
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