過去ログ - 妹と俺との些細な出来事
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907:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/07(土) 23:36:59.71 ID:aAj+iwHSo

 医務室にお兄さんを見に行こうとお兄ちゃんを誘ってみたけど、お兄ちゃんはそれを拒
否した。

「ちょっといろいろ考えたくてな。おまえ行ってきなよ」

「考えるって?」

「いろいろだよ。いろいろ。いいからさっさと行け。ついでに今日この先どうするのかも
打ち合わせてきなよ」

「・・・・・・わかった」

 お兄ちゃんにもいろいろと心境の変化が訪れているのだろう。それは望ましい方向への
変化だと感じたあたしはそれ以上無理にお兄ちゃんを誘わなかった。

「じゃあ、医務室に行って来るけど。お兄ちゃんは本当に平気なの」

「ああ。放っておけば直るだろ、こんなの」

「じゃあ、ちょっと待っててね」

「わかった」

 お兄ちゃんと別れたあたしは係員の人に医務室の場所を聞いた。そのドアの前であたし
は医務室のドアをノックした。返事はない。治療中ならまずいと思ってあたしはしばらく
待ったけど、中からは何の物音もしなかった。

「お兄さん? 入りますよ」

 あたしはドアを開けた。



「うん? もう帰って来たのか」

 以前のお兄ちゃんを取り戻して心安らかだったときはほんの一瞬で粉々になり、あたし
の感情はさっきとは間逆の方向に暗転していた。

「顔色悪いぞ。何かあったのか」

 お兄ちゃんがあたしに問いかけた。

「行こうお兄ちゃん」

「行こうってどこに。妹ちゃんたちはどうするんだよ」

「ここから出ようよ。お兄ちゃんお願い」

 お兄ちゃんは鈍い人ではない。それどころか人の感情を読み取る点では鋭すぎるところ
がある。だからこのときお兄ちゃんは既に何事かを察していたのかもしれない。でも、こ
のときのあたしはお兄ちゃんの気持を察するどころではなかった。

「・・・・・・わかった。着替えたら出口で会おう」

 抱き合っていた。水着姿のままで。妹ちゃんの水着はワンピースでそれほど肌が露出し
ているわけではない。でも、妹ちゃんを抱きしめたお兄さんの手が、妹ちゃんのむき出し
の肩を撫でている様子ははっきりと目に焼きついている。深く重ねた二人のキスの様子と
ともに。


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