過去ログ - 妹と俺との些細な出来事
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910:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/07(土) 23:38:42.66 ID:aAj+iwHSo

 思わずお兄ちゃんの身勝手な発想に怒りが沸いてしまった。身勝手という意味では妹ち
ゃんも同じだったのだけど。

「それはお兄ちゃんが妹ちゃんのことを、ママを取り戻すための手段だと思っているから
だよ。だからそんなに平気な顔をしていられるんでしょ」

「何だって」

「あたしは違う。最初はともかく、あたしは今では本当にお兄さんのことが好きで、だか
らこんなにつらいんじゃないの」

「だから落ち着けって。あいつらは普段は両親が忙しくていつも二人きりだったんだろ」

「そうだけど」

「共依存だよ。あいつらは本当に愛し合っているわけじゃない」

 ここでお兄ちゃんの口から共依存という単語が出てくるとは思わなかったけど、それで
も今のあたしにはお兄ちゃんへの反発心しか感じない。

「何でそう言い切れるの」

「実の兄妹だからさ。これが幼馴染とかだったら僕だって少しは焦るけどさ」

 もう我慢できない。お兄ちゃんは頭がいいくせに真相を悟ることができない。それはき
っと自分に自信がありすぎて真実をそのままに受け取れないからだろう。正直、今はお兄
ちゃんのことどころじゃなかったけど、こんな楽天的な誤解をそのままにしておくわけに
はいかなかった。

「あたしたちってさ」

 あたしはお兄ちゃんに話し始めた。

「うん?」

「そもそも何で妹ちゃんからこの旅行に誘われたんだと思う?」

「それは親友のおまえと一緒に来たかったからじゃ」

「そうじゃないよ。妹ちゃんは本当はお兄さんと二人で来たかったんだと思うな」

「それならわざわざ直前になって僕たちを誘うことなんかないだろ」

「そのときの妹ちゃんはお兄さんからいい兄貴になる宣言をされてたからね」

「はあ?」

「妹ちゃんはきっとお兄さんと恋人になりなかったんだよ。でも、お兄さんがいい兄貴に
なるって頑なに言い張ってたからさ」

「どういうこと?」

「嫉妬させたかったんでしょ。お兄ちゃんとベタベタしているところをお兄さんに見せ
て」

 お兄ちゃんが俯いた。やがて顔を上げたときのお兄ちゃんの表情はさっきまでと全く異
なるものだった。


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