過去ログ - 妹と俺との些細な出来事
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924:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/10(火) 23:47:10.11 ID:G+tSV9VVo

<兄と妹を別れさせる会>




「とにかく女が兄を好きならって思って身を引いた俺は全くのピエロだよ」

「あなたの場合は後輩を妊娠させたんだから自業自得でしょう」

「妊娠してないって。でもまあそうだな」

「あの。実の兄と妹の恋愛とかって本当に成り立つものなんでしょうか」

「さあ。俺には弟しかいないしよくわかんないな。君の方こそ兄貴がいるんでしょ? 兄
貴のことを彼氏として見れるの?」

 あたしは沈黙した。昨夜の恐かったお兄ちゃんの行動を思い出したからだ。

 兄貴のことを彼氏として見れるの? その応えはイエスでもありノーでもある。あたし
はかつてお兄ちゃんに恋していてお兄ちゃんを恋愛対象としか見れなかった時期がある。
でも、そんな関係はありえないと自分で納得してからは、お兄ちゃんから距離を置き、そ
してお兄ちゃんの妹ちゃんへの恋愛を手伝おうと思った。

 でも今ではどうなんだろう。お兄ちゃんの恋愛を手伝う気なんかさらさらない。マザコ
ンのお兄ちゃんは妹ちゃんを手段としてしか見ていないことがわかったからだ。

 無理矢理素肌に残されたお兄ちゃんの手の感覚がまだ残っている。その手はあたしが恋
しているお兄さんのものではなく、恐い実の兄の手の感覚だ。ただ、あたしは一時期その
手の持ち主に恋していたことも事実だったのだ。

 そういうことを踏まえてもなお、あの場をお兄さんと妹ちゃんが邪魔してくれたことは
よかったのだと思う。仮にお兄さんへの恋を諦めなければいけないとしても、それはお兄
ちゃんへの恋を復活させることと同義ではないのだから。

「どうなんでしょうね。二人がお互いを好きなら有りなのかもしれませんね」

「自分が振られたのにずいぶん冷静だな。やっぱり君も兄貴のことが気になるんじゃ」

「あ、違いますよ? 妹ちゃんたちのことなら有りなのかもしれないけど、自分とお兄ち
ゃんなんて有りえないですから」

 少なくともマザコンのお兄ちゃんとは。あたしは心の中でそう付け加えた。

「・・・・・・やべえ。そろそろ時間だ」

「何か用事があるんですか」

「まあね。つうか君も一緒に行かね?」

「はあ」

「この後女と女友と会うんだ。前から約束させられててさ」

「何であたしが一緒に?」

「さあ。でもテーマが兄と妹のカップルのことらしいんだよな。どうせ俺は尋問を受ける
んだろけどさ」

「繰返しちゃって悪いんですけど、何であたしが一緒に行く必要があるんですか」

「兄の被害者の会設立かもしれねえじゃん。それなら妹友ちゃんにも参加資格はあるし
な」

「あたしは別に被害者では」

「いいから付き合ってよ。俺だってたまには君とデートしたいしさ」

 兄友さんはそう言ってにかっと笑った。

 この人はどこまで打たれ強いんだろう。少なくとも今まであたしの周りにはいなかった
タイプの人だった。どうせすることもないのだ。家に帰ってお兄ちゃんと気まずく顔をあ
わせるよりは、いいのかもしれない。結局あたしは兄友さんに着いていくことに決めた。


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