過去ログ - 妹と俺との些細な出来事
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957:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/23(月) 23:48:32.66 ID:9s/yvZpko

<浮気相手>




「ママのしたことって浮気だし不倫じゃない。パパが嫌だったけど我慢したのはあたした
ちのせいだなんて。そんなの責任転嫁じゃない」

「だって、ママが離婚したらあなたたちが悲しむと思って」

「そう思うなら何で今離婚するの? もう高校生だから悲しまないとでも思っているの」

「それは」

「結局、好きな男ができたからその人と暮らしたいだけじゃない。順序が違うでしょ?」

 そのときママの目が泳いだ。あたしはママの視線の先を追った。やっぱりか。

 以前、妹ちゃんの家に遊びに行ったときあたしは偶然にその人に会いあいさつしたこと
があった。妹ちゃんはお兄さんがいる時はあたしを自宅に招こうとしなかったけど、それ
以外の家族がいることは全く気にしていなかったから。

 ママの視線の先にはそのとき会った人が座っていた。二人の視線が交錯し、その人は黙
って頷いて席を立った。

 最初からママはそのつもりだったのだ。あたしは席を立とうとした。

「待って。騙すようになっちゃったのは謝るから彼に会って。話さえすればどういう人な
のかわかるから」

 ママはあたしが妹ちゃんのパパと会っていることを知らない。でも、妹ちゃんのパパは
どうなのだろう。自分の不倫相手の娘であるあたしが、最愛の娘の親友であることを知っ
ているのだろうか。

「こんにちは」

 穏かで深みのある低音の声がして、目の前にその人が立った。

「お久し振りです。いつも妹ちゃんには仲良くしてもらってます」

 男の人とママは驚いたようだった。

「あれ? 君ってたまにうちに遊びに来ていたね」

「はい。妹ちゃんとは親友です」

「そうか。君だったんだ」

 ママとこの人は富士峰の授業参観や保護者会で親しくなったということだから、ママの
娘が妹ちゃんの友だちであることは承知していたのだろうけど、そのあたしが実際にあの
とき家で会った子だとは思わなかったようだ。


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