過去ログ - 妹と俺との些細な出来事
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959:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/23(月) 23:52:09.68 ID:9s/yvZpko

「だいたい妹の方が昔からもてていたのに比べて兄の方はさっぱり女っ気がなかったから
ね。情けないことに」

「あら。ご自分の若い頃はさぞかしおもてになったのかしら」

 ママが微笑んでいった。

「そうじゃないけど。とにかく兄が本気ならあのときもっと私に反発したはずなんだ。そ
うされてれば私だって」

 そうされていれば二人の仲を許したとでも言いたいんだろうか。

「お兄さんは女の子にすごく人気がありますよ。昔から仲のいい女さんとか大学の友人
でモデルをやっている女友さんとかがお兄さんのことを好きみたいですし」

「本当か」

 池山さんが驚いたように言った。妹ちゃんとお兄さんの仲を邪魔したあたしにとっては、
論理的な思考ではなかったけど、なんだかお兄さんがバカにされているのが嫌であたしは
このとき少し興奮していたみたいだ。

「お兄さんの取り合いみたいになっているし。妹ちゃんの仲をご両親に告げ口しようとい
う話だって、どうもお兄さんを妹ちゃんと別れさせたいからみたいだし」

「うーん。ちょっと早まったかな」

 池山さんが苦い顔で呟いた。

「早まったもいいところでしょ。本当に愛し合っていたかもしれないですよ」

 あたしはいったい何がしたいのか。計画どおりに二人を別れさせたのはあたしの方じゃ
ないか。何を今さら池山さんを責めているんだろう。このとき、ママは黙ってあたしと池
山さんのやりとりを聞いていた。その様子は嬉しそうだった。どうも、その話題が何であ
れあたしと池山さんが親しい口調で話をしていることが嬉しいようだ。

「だったら何で黙って家を出て一人暮らしを始めたんだろう。妹に泣きながら抱き着かれ
ていたのに」

「妹ちゃんが好きだったから無理に添い遂げて不幸にさせなくなかったんじゃないです
か」

「そうかな。私たちにばれて自棄になって諦めたんじゃないかな」

「自分の息子のことなのにそんな感想しか持てないの? あなたは妹ちゃんだけが唯一の
大切な子どもなんですか。お兄さんのことは理解しようともしないの?」

 あたしはいつの間にか目に涙を浮かべてなかば叫ぶように言っていた。恥かしい。こん
なに感情的になるなんて。


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