過去ログ - 妹と俺との些細な出来事
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973:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 23:32:33.11 ID:n+EZ0SdMo

<じゃあ、帰るね。兄友さんはそう言った>




「変な夢を見て惑わされない方がいいと思うけどな」

 兄友さんがあたしの回想を遮った。口にしたわけではなかったけど思考というかこの妄
想はだだ漏れだったらしい。

「そんなことはあたしにだってわかってます」

 情けなく兄友さんの胸に自分の顔を擦りつけながらあたしは弱々しく言った。

「まあ混乱するのも無理ないか。でも自分の両親の離婚と兄への気持はいったん切り離し
て考えた方がいいかもな」

「わかってるよそんなこと」

 本当にわかっているのだ。ママやママと再婚するという池山さんを拒絶し、傷付いてい
るであろうパパやお兄ちゃんの助けに専念するべきだということは。

「何かなあ。なし崩しに兄の親父さんと君の母親の手の内に落ちちゃいそうだな」

「・・・・・・そんなこと」

「ないって言い切れる? 君の望みが叶うんだよ」

「・・・・・・何でそんなに意地悪するの」

 肩を抱いてくれていても兄友の言葉は今のあたしにとって辛らつなものだった。

「意地悪するつもりじゃないんだけど」

「ひどいよ。兄友さんがあたしのことが好きだからって、そんなに責めることはないでし
ょ。あたしとお兄さんを仲良くさせたくないだけじゃないんですか」

 兄友さんは黙ってしまった。

 これは考え得る限り最悪の言葉だ。好きだという気持をこんな風に非難される材料にさ
れたら、あたしだったら本当に屈辱で悲しいだろう。そんなことはわかっているのにあた
しはそういうひどい言葉を兄友さんに向って口にしたのだ。さっきまで抱きついて兄友さ
んの優しさに慰めを求めていたくせに。


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