過去ログ - インデックス「この向日葵を、あなたに」
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24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/08(木) 12:25:06.91 ID:q8CRr7Mk0
「るー……るるー……ららーら」

 深い黒に押し潰されていた意識が徐々に覚醒していく。
 酷く重い何かに押し潰された心が、時には辛くて逃げ出してしまった時、優しい誰かに慰めて貰った記憶と共に。

 上条には残って居ない筈の――それでいて、おぼろげながらあったかも知れない思い出が再生されたのか。
 母さん、と口元まで出かかった言葉を呑み込み、彼女の歌を邪魔しないように暫く目を瞑っていようとしたが。

インデックス「――あ、とうま。起きたんだよ?」

 シスターさん膝枕されている事に気付いて、酷く恥ずかしくなる。

上条「あー、まぁ。うん……倒れてた?」

インデックス「とうまが病院送りになるのは珍しくないかも」

上条「……俺のステータスにバステ付け加えるの止めてくれるかな?何回言ったか忘れたけど」

 木陰の下からインデックスを見上げる構図は気恥ずかしくて。ありがとう、の言葉が出ず、反射的に悪態じみた文句を言ってしまう。
 けれど相手はもう、付き合いも気心も知れている訳で。

インデックス「……そうだね。とうまは忘れちゃっているかもしれないけど――」

インデックス「――私は、ずっと憶えているんだよ」

 木漏れ日から漏れた光が彼女の綺麗な銀髪を、より透明な美しさを引き出す。
 ふわり、と眩しい微笑みを見せられ、上条は顔が紅潮していくのを自覚した。

インデックス「とうま?どうして視線を逸らすのかな」

上条「……綺麗だな、って」

上条「あぁ、ヒマワリがな?」

インデックス「だよねー。うん。これがごはんになるんだから!」

上条「……錯覚でしたね、はい」

インデックス「何か今酷い事を言われぐるるるるっ」

上条「ヤダっ近くに獣がいるっ!?」

 言葉とは裏腹に上条の髪を撫でる手は優しく、身を任せたインデックスから離れる気配もない。

 ヒマワリが風にそよぎ、海原の波であれば。
 二人の揺蕩う日陰は小島のように。

 もしもここが誰も――二人しか居ない、閉ざされた孤島だったとしても。
 きっと、いや確実に変わらないであろう光景だった。


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