過去ログ - モノクマ「うぷぷ…安価でRPGをしてもらうよ!」苗木「…最終章!」
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/12(月) 22:02:59.16 ID:EHlwHqUX0
『華やかな季節に君は囲まれて歩いて行った♪
 みんな、起きてるかー?
 6月1日最初のライド先生の定時放送の時間やでー!』

頭の上から降ってきた声に、水田早稀(女子十七番)は耳だけを傾けながら、物置の中で見つけた工具箱から金槌を取り出し、相棒の日比野迅(男子十五番)が待つ家の窓の前へと向かった。
窓の一部分にはガムテープが貼られており、エアコンの室外機に腰を下ろしている迅の左手首にはブレスレットのようにガムテープの芯が通されていた。

2人がいるのは御神島の南東にある集落のとある一軒家で、地図上ではG=08エリアにあたる。
同じ班のメンバーで18時間前にはぐれて以来再会を果たせずにいる芥川雅哉(男子二番)と奈良橋智子(女子十二番)を探して続けていたのだが、夜も更けたので少し休むことにした。
目についた家にお邪魔することにしたのだが鍵が掛かっていたため、無理やり侵入しようとした矢先、定時放送の時間となったのだ。

「なんか、曲は爽やかっぽいのに、悲しい感じがするな。
 歩いて行った…って、どこに、なんだろうな」

「こんな状況だと、嫌な方に想像しちゃうね。
 …よっしゃ、行くよっ!!」

早稀は金槌をガムテープを貼った窓へと勢いよく振り下ろした。
一番やんちゃに過ごしていた頃は人に対して鉄パイプのような物を振り下ろしたこともあったのだから、その頃に比べれば今の行為の方がよっぽど平和的だ。
金槌の当たった部分のガムテープがへしゃげたのを確認すると、迅が拳にタオルをぐるぐるに巻き付けて窓を叩き割っていき、自分の手首が通る大きさまで割ると、中に手を突っ込んで鍵を開けた。
このような作業を辺りを警戒せずに行うことができるのは、早稀に支給されている探知機のおかげだ、四六時中辺りを気にせずに済むのはありがたい。

迅は窓を開けると床に散らばったガムテープが貼られたガラス片を革靴で端に寄せ、早稀の足元を懐中電灯で照らして、「気を付けろよ」と声を掛けながら早稀に手を差し伸べた。
早稀は迅のエスコート(と言うには、状況は似つかわしくないのだが)に頬をぽっと赤く染めながら、迅の手を取って部屋を上がった。

ライド(担当教官)が何やら雑談のようなことを語っている間に隣の部屋へ移り、腰を下ろして地図とペンを取り出した。
ペンを出して、名簿にチェックを入れる用意をする――身体に既にこの流れが染み付いてしまっていることがとてもやるせない。

『ほんなら、まずは儚く散っていったお友達の発表な。
 男子一番・相葉優人君。
 女子五番・小石川葉瑠さん。
 女子十五番・広瀬邑子さん。
 男子十四番・春川英隆君、以上4人や。
 小石川さんは、リーダーの相葉君の死亡によって首輪が爆発してもたからなー。
 最初の放送でも気ぃ付けなあかんって言ったのになぁ』

早稀は小さく呻き、口許を手で覆った。
優人と葉瑠、邑子と英隆――名前を呼ばれた全員が、プログラム開始後に一度顔を合わせたクラスメイトたちだ。
英隆に撃たれた左肩がずきりと痛んだが、この傷を付けた英隆はもういない――英隆は生きようと思ってプログラムに乗ったはずなのに、生きることはできなかった。
邑子はやる気になっているようには見えなかったが、死にたくなどなかっただろう。
早稀の脳裏には、英隆と邑子とは旧知の仲である、早稀といつも一緒にいた友人の一人、財前永佳(女子六番)の姿が浮かんだ。
2人を失った今、永佳は何を思っているのだろうか。

一方、優人と葉瑠はプログラムに乗り気ではなかった。
やる気ではない早稀と迅が現れた時ですら逃げようとしていたのだ、自分から誰かを襲うなどということはとても考えられない。


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