過去ログ - モノクマ「うぷぷ…安価でRPGをしてもらうよ!」苗木「…最終章!」
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[sage]
2013/08/12(月) 22:04:19.57 ID:EHlwHqUX0
せっかくついていたのに、気分を一気に害された。
早稀が振り返ると、睨み上げた先には高校生と思しき2人組がにやにやと笑みを浮かべて立っていた。
「…は? 意味不明。
一銭どころか、お菓子だってやる義理ないっての…あっ!!」
肩に掛けていた鞄を引っ張られ、早稀は転倒した。
その間に高校生は鞄を漁ってピンク色の財布を取り出し、「もーらいっ!」と嬉しそうな声を上げると、そのまま出口へと向かっていった。
直接目の前で奪うあたりは正々堂々としているので褒めてやらなくもないが、それでも犯罪行為には変わらないし、財布を取られて落ち着いていられるはずがない。
「ブッ潰す…ッ!!」
痛めた足で踏み出したので一歩目でよろけたが、早稀は構わず高校生を追いかけた。
ゲーセンを出て左右を見て右側に2人の姿を確認すると、小柄ながらも、運動能力の高い者が多いバスケ部の中でトップクラスの俊足を披露し、一気に距離を詰めた。
一人の背中に飛び掛かって押し倒し、両手で頭を掴んで地面へ叩きつけた。
両手の中から呻き声が聞こえた。
まさかこのような反撃を食らうとは思っていなかったのか(まあそうだろう、着崩してはいるが名門帝東学院中等部の制服を身に纏っていていたし、中学1年生の中でも小柄に分類される女子が相手だったのだから)早稀の財布を持っていたもう一人が唖然としていたが、我に返ると踵を返し、逃げ出した。
「はぁっ!?
ざっけんな、財布返せ、クソ野郎ッ!!!」
早稀は追いかけようと立ち上がったが、右足首に激痛が走り、その場に倒れた。
「くっそ…ッ!! 返せ、ドロボーッ!!!」
ドラマの中でひったくりに遭ったおばちゃんが叫ぶような定番の台詞を叫んだ。
財布は盗られるし、足はきっと更に痛めたし、散々だ。
今日はしし座の運勢も血液型B型の運勢も最低に違いない。
そう悔しさに唇を噛みしめながら逃げていく高校生の背中を見ていたのだが、突然高校生は顔面からスライディングするように転倒した。
転んだ拍子に手から離れた早稀の財布を何者かが拾い、こちらに近付いてきた。
その何者かは、どう見ても帝東学院の制服を見に纏っていて、近付いてくるとそれなりに見知った顔をしていた。
早稀は目を丸くし、財布を拾ってくれた恩人を見上げた。
「…迅?」
「よ。 てか水田さ、ガラ悪すぎ、どこのヤンキーだよ。
お陰で声が聞こえたから気付けたけど」
呆れ顔で手を差し伸べてくれたのは、男女の違いはあるがお互いバスケ部に所属している縁で少しは交流があったのだが、キツい顔立ちであまり愛想が良くないので少し怖いイメージがあった日比野迅だった。
財布を持って逃げた高校生とすれ違いざま、少し足を延ばして高校生を転倒させていたのを、早稀は見ていた――つまり、迅は、困っていた早稀を助けてくれたのだ。
手を借りて立ち上がると、怒りが冷めたからか右足首にこれまで以上の激痛が走り、そのまま倒れそうになったが、迅が抱き止めてくれたので倒れずに済んだ。
当時は成長期を迎える前だったので周りの男子と変わらない身長だったけれどそれでも小柄な早稀にとっては大きくて硬い身体、シャツを通して伝わってくる高めの体温、汗とマリン系の制汗スプレーの匂い――喋ることはあっても触れることはなかった友達が、異性であることを身をもって実感し、急に恥ずかしくなって一気に顔の温度が上がっていくのがわかった。
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