過去ログ - モノクマ「うぷぷ…安価でRPGをしてもらうよ!」苗木「…最終章!」
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84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/24(土) 22:18:16.57 ID:WzI0y4MJ0
最期に、会いたかった…一目だけでも…――

斬られる、はずだった。
しかし、予想した痛みは来なかった。
恐る恐る目を開け――驚愕に目を見開いた。

「大丈夫ですか…咲良さん…」

咲良の眼前には、奨がいた。
いつもは殆ど変わらない表情をしているのに、今は眉間に皺を寄せ、顔を引き攣らせ、それでも小さくとも穏やかな瞳に咲良を映していた。
じわじわと背中側からカッターシャツが紅く変色し始めている――咲良と雪美を庇い、賢吾の刃を背中に受けたのだ。

「しょ……奨…くん……なん…で……?」

また、庇われた。
洋海に襲われた時も奨は身を挺して咲良を護ってくれた。
そして、今回も。
本当に穏やかで優しくて争い事が苦手で、きっとプログラムという戦場に最も似つかわしくないはず奨のことは、武術を嗜む自分が護らなければならなかったのに。

しかし、奨は、咲良ですら滅多に拝めない笑みを浮かべてみせた。
本当は苦痛でそんな余裕もないはずなのに、とても穏やかで、慈しむようなそれを。

「当然です……
 自分は……咲良さんが――」

奨の身体がびくりと震えた。
腹部から、カッターシャツを突き破り、てらてらと紅く光る刃が覗いた。
それがずるりと引き抜かれると、奨は、咲良に向かってどうっと倒れた。
70kgを超す巨体に圧し掛かられたので支えきれずに咲良はその下敷きとなったが、ぶつかった時の痛みとか、そんなことはどうでも良かった。
触れた咲良の左手が、奨の口が触れているカーディガンの肩口の部分が、真っ赤に染まったこと――それが全てだった。

「奨…くん…?」

震える声で名前を呼ぶと、奨はゆっくりと身体を起こした。
息は絶え絶えで、目は虚ろだった。
本来なら絶対安静で、今すぐにでも医者に診てもらわなければならない程の怪我だということは、素人目で見てもはっきりとわかった。
しかし奨は刺されて吐血したために真っ赤に染まった歯を食い縛りながら、咲良の右腕に未だしがみ付いている雪美へと掴み掛った。


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