17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/10(土) 22:49:21.98 ID:lBj8T8j90
あい「初めてのデートもこれと言って特徴のない平凡なものだった。傍からは仲睦まじい友達同士にしか見えなかっただろう。かく言う私もこれがデートだなんて意識は、半日も経たないうちに忘れてしまった。今思い出したけど、普段は絶対に行かないような可愛らしい内装をした雑貨屋にも行ったよ。あれは新鮮な体験だったな」
あい「……デートの最後に私たちはとある公園を訪れた。広い海浜公園で、肌寒い季節だったせいか人はいなかった。私の隣に座った後輩の笑みはいつもとは少しだけ違っていたよ。私は彼女を慮れなかったけれど、後輩はずっと前から決意していたんだろうね」
あい「『先輩が私のことを想ってくれているのなら、キスしてください』」
モバP「………………」
あい「愕然としたよ。心の中で彼女を子ども扱いしていたことに。自分が彼女の気持ちを誤解していたことを思い知らされたんだ」
あい「私の本当の音色は彼女が望むものではなかった。ただそれだけのことを気づくまでに、私は相当の時間を有して、結果的に彼女を実験動物のように扱ってしまった。恋愛は結婚の予行演習というけれど、それを地で行ったんだ」
あい「彼女は謝る私を笑って許してくれた。目の端に涙をためていた彼女は美しかった。けれど、私には彼女をそういう対象として見ることがついぞできなかった。」
あい「私と彼女の関係はそのデートを境に仲の良い先輩と後輩へと収束していった」
あい「思えば、それからだろうね。私が女性に対して徹底して紳士的に、かつ憧れたり得るように接し始めたのは」
あい「ちなみに、今や彼女は十九歳にして一児の母。去年の年賀状には親子三人笑顔で写った写真が載っていたよ。幸せそうだった。家族一丸となって私のファンをやってくれているそうだ」
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