過去ログ - 天井「どうしてここまで来たのだろうな」
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134: ◆n7YWDDtkCQ[saga]
2014/03/09(日) 16:40:22.02 ID:AfZ3xakO0


とはいえ優雅に喫茶店で過ごすのは色々な意味で緊張感に欠ける。
汗水を垂らし近隣の路地で測定を行っていた天井は、数時間後に先のMAR隊員と合流した。

人目のある場で話せることでもない、二人は涼しいMAR本部へと移動している。

天井「ふう、やっと人心地ですよ。
   ……お待ちしている間に外も測定しておりましたが、やはり現在は特異な波長が見られませんでした。
   過去の電磁波データには確かに指向性のようなものが見て取れるのですが……」

隊員「ふむ。結果だけ申し上げますと、現在入院および通院中の患者のAIMデータに、
   一連の……またはごく近くで起こった該当一軒の地震と結びつく点はありませんでした」

天井「過去に治療を受けていた能力者のデータはないのですか?」

むしろあったら困るのだが、流れとして聞いておく。
残念そうな隊員の口ぶりにから逆に安心を掴みながら。

隊員「基本的にカルテやその他のデータは一定期間保存しているそうなのですが……。
   こういう街ですからね。患者から申し出があった場合、能力関係を含めたあらゆる記録を破棄するそうです」

天井「つまり、過去のデータでも申し出がなく保管されていた分には地震との関連性はなかったと」

隊員「ええ。そうなると記録破棄済みの患者が気になるのですが、氏名連絡先なども完全に再現不可だそうで」

以前、何者かが病院のサーバを探った跡があったというが、
記録を破棄していたおかげで木山達まで辿られなかったということか。
事情が事情だけに転院の際は念を押しただろうし、不正アクセスがあった後も確認していることだろう。

天井「すっきりしませんね……。今回の仮説が合っているかどうか確かめられないとは。
   他にも発生源と思われる地点を絞り込めればよいのですが」

隊員「そうですね、また気になることがあれば是非お知らせください」

これは願ったり叶ったりである。
今回も、トップのテレスティーナ本人とはいかなかったがれっきとしたMARの一員が同行してくれている。
……というか本部内での面会はともかく、ぽっと出の研究者が提案した調査に隊長が出張ってくるのは考えづらい。
そういう意味で天井の意見はMAR内で一定の重みをもって受け入れられているようであるし、
彼の口ぶりからするに次回、移送当日も期待していいだろう。

天井「そういえば――差し支え無ければ、測定したAIMが地震の原因でないというのは、どこで判別するのでしょう。
   私の手持ちのデータでは、毎回の共通点は無かったように思いますが」

木山の眠る生徒達は十人居るが、発生源として全員が関わったのは、
一箇所に集めてから治療を試み大きい地震な地震を引き起こした一回のみ。
それ以前は一人か数人が発端となっているため、全ての地震に共通するAIMは無いはずなのだが。

隊員「共通点はありませんが、一定の法則性があるのではという見方が部内では立っています。
   具体的な特徴についてはセキュリティの観点から言及できないのですが……」

天井「いえ大丈夫です。
   逆に言えば、測定したAIMをこちらにお持ちすれば原因かどうかの判断はしていただけるということですね」

隊員「勿論です。データだけ持ち込まれる場合にはあらかじめご本人の了承をお願いしますね」

どうにも言葉を濁されてしまった。

生徒達に関して一番情報を確保しているのは木山率いるこちら側だと信じていたが、そうではないのだろうか。
原因となるAIMに法則性があるとは初耳である。
木山が話す必要性を感じなかっただけの可能性もあるが。

天井(だが、妙に思わせぶりと感じるのは穿ち過ぎか)

そもそも、以前病院に探りを入れたのがMARならば、今回の調査が無駄なのは相手も承知のことである。
であるのにわざわざ人員と時間を割いてみせるのは「天井の調査に期待している」ポーズであるとも考えられた。

天井(どうもうまくない。前提が仮定の上に推論など成り立つか)

もやついた納まりの悪さが肺の辺りにこびりつく。
餌をちらつかせているのはどちらなのか。
誘導しているのはこちらなのか。
探っているのはあちらなのか――。





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