過去ログ - 天井「どうしてここまで来たのだろうな」
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2: ◆n7YWDDtkCQ[saga]
2013/08/11(日) 16:50:45.12 ID:XOZAxrJC0


今は怯む気も無い。
定めた目標を押し通すには、少ない手持ちで差し引きしていくしかないのだから。

ゆっくりと目裏の暗幕に記憶を委ねれば、間近に映るのは幾つもの姿。

年少でありながら毅然と立つ同僚が居て、
情熱と抑圧の間で挑み続ける警備員が居て、
何があろうと道を見失わない医者が居て、
庇護される立場に甘んじない学生達が居て、

最後に、白衣を靡かせた背中が見える。


「どうしてここまで来たのだろうな」


未だ対面もしない生徒の治療と、自分自身に降りかかるリスクを天秤に掛けたことさえ不可解だ。
尚更、前者を取るなんて。
裏で追い詰められたとなればテロリズムを画策し、表で促されれば治療に尽力もする。
思うより、天井は流されやすい人間なのかもしれない。

白衣の幻が振り返る。
しかし彼女はこちらではなく、ずっと遠くを見詰めている。


「――ここまで、来れたんだろうな」


改めて問うまでもなく。
天井をここに引き摺り込んだのは、あのうっそりとした眼の研究者だった。





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